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ニューゲーム

GAM START

白い空間にポツンと、黒いテーブルが置かれている部屋に、二人の人物が立っている。

一人はこれからインフィニティ・オブ・ユグドラシルをプレイするアレアス・ヴォン・エリアス。

もう一人は不思議な格好をした男だった。


村人が着るような服を着ている男、アレアス。

それともう一人、ピエロのような格好をしているが、マントを着用し、王冠を被っている男。


「さぁて、始めまして、青年よ。私の名前はチュートリアル管理人、ロキ。気軽にロキとでも呼んでくれたまえ。では早速だがチュートリアルを開始しよう。とその前に何か質問はあるかね?これを何度繰り返したのか、数えるのも馬鹿らしいな!」


ロキと名乗った男は、言い終わった瞬間何処からか黒い椅子を二つ出し、そこに座る。

アレアスもその出された椅子に座る。

これで正面に座ることになった。


「特に質問はな…‥なぜそのような格好をしているのかい?不思議な格好だね。僕の格好は見窄らしいけど、君の格好も大概だよね」


質問は無いと言いかけたが、アレアスは質問をした。

純粋に気になる質問。ゲームに関することではなく、ロキに対する質問か。

その質問に対してロキは目を細め、肘をついた。

気分を害しただろうか?だが、その表情は怒ってはいない。

自分の自意識過剰か?どうしてだろう?そのような疑問がいくつも湧くが、どれもエリアスを納得させる答えは出ない。


「このゲームに関する質問ではなく、私の格好が疑問に思うか。

ふむ.....青年、私の格好が見えるのか。普通の者には見えないようになっているのだがね。君以外のプレイヤーには執事服を着ているように見えている筈だ。何らかのバグか?だがそれは有り得ない。◾︎◾︎◾︎◾︎が管理している、それは万が一にも有り得ない。おっと‥…すまない。私にも原因は不明だ。すまないね。遅くなったがチュートリアルを開始しようか」


何度か謝ったロキは肘をテーブルに付け、顎に手を当てブツブツと何か呟いている。

エリアスもどんなことを呟いているのだろうか、と好奇心が襲うが聞いては行けないような気がし耳を立てないようにしている。途中、ノイズが襲うが()()()()()()

気にするな、と暗示をかけるように思考を切り替える。


「あぁ、そうだね。僕も早くプレイしたいし、お願いするよ。まぁなぜその様な服を着ているのか気になるが、してはいけない質問だったかな?すまない」


するとロキは少しフッと笑う。

やれやれとでも言うような行動をするロキにエリアスは不思議に思っているとロキが口を開いた。


「何か勘違いしているようだが、この服装は私の趣味だ。ただ、普通は見えないようになっているだけで。見えないようになってる理由だが、すまないが言えない。まぁその例外が君のようだがね」


もっとも、付け加えるように例外が君だ。と言うロキ。

それに対しアレアス自身も何故、ロキ本来の服装が見えているのかはわからない。

疑問は尽きないが、今はチュートリアルを終わらせプレイしたい欲求に駆られる。


「さて、チュートリアルを始めるが名前から決めていこうか」


するとアレアスの目の前に透明な画面が出現した。

その画面には空欄と職業、種族、とありそれぞれ選べるらしい。

スキルなどはチュートリアルが終わったあと、自力で入手するしかない。

あるのは種族スキルとジョブスキルのみ。


「その画面の空欄をタップすると操作できる。終わったら言ってくれ」


ロキはルービックキューブをどこからか取り出し、カチャカチャとそれで遊び始めた。

そんなこと構いもせず、エリアスは出現した画面を見る。


「名前か。何にしよう」


少しの間考え込み、空欄のところに「ベーゼ・カルネージ」と打ち込む。

意味は邪悪・虐殺。

VRMMOをするのは始めてのアレアスだが、何故このような名前にしたのか。

完全悪役プレイをするために、名前も悪っぽくしよう。

そんな感じで決めたのだ。

悪役と言ってもPKだけでなく、そのゲームの中での法を犯すことすら視野に入れている。

なぜ悪役になるのか。ネットサイトでどんなロールプレイをするのかランダムで決めてくれるサイトがある。

そこで最初に出たのが悪役だったためだ。

どんなことをするのもこの男は完全に気まぐれ。

それが、プレイヤー名、ベーゼ・カルネージと言う男である。


次に職業、「ジョブ」を決めるのだが、ざっと見ただけでかなりの数がある。


基本的職業の剣士から始まり、

槍士

弓士

闘士

兵士

僧侶

神官

戦士

炎術師

風術師

水術師

地術師

盗賊

魔法使い

山賊

破壊屋

農家

鍛治士

裁縫士

木こり

料理人

死霊使い

整備士

大工

召喚士

拳士

僧兵

従魔士

騎兵

医師

薬師

研究者

教師

絵師

司祭


と軽く見ただけでこれほどある。

これほどあるとジョブ選びに相当時間がかかる。

だが、ベーゼは何にするのか決めているのか、ひたすらスクロールを続けている。

目を動かし必死に探す。

探すこと数分。


「あった」

とベーゼが声を漏らす。

ベーゼが選んだジョブは葬儀屋。

一見すると戦闘職には見えないが、立派な戦闘職である。

葬儀屋の固有スキル、埋葬によって、MPを消費し倒したモンスターを棺桶に入れることができる。

情報はこれだけしか乗っていなかったが、それからどのようなことが出来るかは自分が確かめていくしかないだろう。


次に種族を決めるのだが、これも多い。

ヒューマンから始まり、エルフ、ドワーフに獣人。

妖精に鬼人、竜人…‥と沢山の種族がある。

その中、スクロールしていくと不死人という種族があった。

この種族は悪役ロールプレイするベーゼにとって、天職のようなもの。

不死族の説明としては、基本的にヒューマンと変わらないが夜になるとステータス上昇、暗視、クリティカル率アップが付く。その代わりに聖職系は就けず、聖属性、光属性の攻撃では威力が1.2倍。

聖職系に付くつもりがないベーゼからすれば、これに関してはデメリット無しである。聖職系攻撃のダメージ1.2倍はどうにかしないとな。

選び終わるとロキを呼ぼうと、声を上げる。


「終わったよ。ロキ」


呼ぶとロキは、ルービックキューブを机に置き、こちらを向く。



「では、チュートリアルはここまでだ。そっから先は自力でどうにかしてくれっと…‥最後にオリジンエンブレムについて説明しておこう。

まず、オリジンエンブレムだが、体のどこかに現れる。大半は手の甲とかだが、たまに他の場所に現れるプレイヤーもいるからな。まあ別にどこに現れたから特殊、とか格別、とかない。

勘違いするプレイヤーが居たから、一応言っておくが。

それにオリジンエンブレムはプレイヤーの感情、妄想、思考、願いなどが具現化したものだ。どのようなものになるかは誰にも分からない。一つとして同じ能力はない。…‥一通り説明はしたし、あとは自力でどうにかしろ」


腕を組み、説明するロキ。

その説明を受けているとき、ベーゼは感情が高まるのを感じていた。

やっと、「本物」のゲームが出来るのか。

そのような感情がベーゼの中に湧き上がる。


「それじゃあ頼むよ。転移される場所だけど、「王都」だよね?」


王都。それはこのゲームの中にある、7つの国の一つ。

名を、グランフィール王国。略して王国、グラン王国と呼ばれることが多いその国は、かつて「勇者」と呼ばれるものがいたと言う。


これ以上の情報は出回っていない。

それに、ベーゼは3日遅れでゲームを開始している。

つまり、ゲーム内は5倍で時間が進むため、15日遅れとなっている。このゲームは、ゲーム内にいたとしてもリアル時間、ゲーム時間と表示されるため有難い。


「そうだ。他の国にも行けるが、「今」は王都の方がいい。他の国を選べば後悔するだろう」


真っ直ぐこちらを見ながらロキはそう発した。

理由まではわからないが、そう言うのなら王都でいいだろう。


「そう。んじゃ王都で頼むよ。質問は無いし、あっちでどうにかするから。それじゃあね」


そう言って一瞬笑うベーゼに、ロキは「あぁ」と一言だけ。

ロキが言った瞬間、ベーゼは光の粒子となって消えて言った。



「アバター作成するの忘れたな.....」


ボソッと呟いたその言葉がベーゼに届くことはなかった。





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