このゲームは。
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インフィニティ・オブ・ユグドラシル
それはVRMMORPG、《バーチャルリアリティマルチプレイヤーオンラインロールプレイングゲーム》
と言われるゲームである。
インフィニティ・オブ・ユグドラシルとはそのVRMMORPGと呼ばれるゲームであり、突如現れた謎のゲームでもあった。
2069年からフルダイブ型VRMMOと呼ばれるゲームは現れた。
五感全てをゲームの中まで共有することができ、ゲームの中なのにリアルのように遊べるのがフルダイブ型VRMMOの特徴である。
しかし、それができてもクオリティは低かった。
RPG系のゲームではラグが大きく、気がついたら敵にやられていた。
動きがカクカクする。
動けない、スキルが発動できない、バグが多すぎる。
など求めていたものとは違った。
そしてRPGゲームの魅力溢れる設定。自由度が高く、小説のように自分だけのスキル、武器を持って戦う。冒険する。
無限の可能性、自由。
そんなキャッチコピーを使用したゲームは数多ある。
しかし、本当の意味でそのキャッチコピーを叶えることが出来たゲームはゼロ。
だが、2088年、一つのゲームが現れた。それがインフィニティ・オブ・ユグドラシルである。
VRMMOのソフトは最低でも3万はする。
しかし、このゲームだけは1万5千と半分に額で売られている。
それにRPG系と来て、キャッチコピーが無限の自由度、可能性。君だけの力を。
そんなキャッチコピーだが、殆どの人々は期待などしていない。しかし、一部の人は、次こそは。1万五千だし、少しだけ。
と期待した人と値段で決めた人。
そのものたちこそが正解者であった。
このゲームはオリジンエンブレムと言われる、たった一つしかないスキルを得られる。
製作者は言った。その力を生かすも殺すもその人次第だと。
それにこのゲームは、もう一つ今まで成し遂げられなかったことを成し遂げていた。
それはAI。
人工知能と言われるもの。
このゲーム以外では繰り返し同じ言葉を言うか、決められた言葉を吐くだけしかなかったNPCが、感情を抱き、それぞれの性格があり、生きている。
人間と遜色ないほどに。
そんなゲームを作り出した製作者は言った。その世界を壊すも救うもプレイヤー次第であり、そのプレイヤー達が英雄になろうと、勇者になろうと、魔王になろうと何になろうと構わない。
たとえ、世界を壊そうと。
しかし、そんな言葉は殆どのプレイヤーの耳には届かない。このゲームに夢中であるから。
その魅力溢れる夢を実現させたゲーム。
そのゲームをプレイした人は言った。このゲームこそ最強。買ってよかった。正解した。
プレイヤーからは絶賛の嵐である。
そんなゲームを一人の男がプレイし、冒険する物語。
このゲームの設定は、かつて世界の何処かにユグドラシルと言われる一本の樹があった。
その樹が世界を作り、人々を創造し、亜人と言われる種族、魔物と言われる種族やその他諸々生み出した。
世界が出来てから何千年と立った時、プレイヤーと言われる異邦人がこの地に舞い降りる。
と、珍しくもない設定のRPGである。
プレイヤーには一人一つしかない能力、《オリジンエンブレム》が与えられる。
その《オリジンエンブレム》には「位階」といわれるものが存在し、それが上がればその《オリジンエンブレム》も強力なものになっていく。
1位階から存在し、何位階まであるのか不明。
初期の段階で、《オリジンエンブレム》の中にも強弱は有るが、育て上げれば確実にどんなものも強くなる。
戦闘系であれば戦闘に特化した強さになるし、生産であれば質、生産力など様々なことに特化したものへと変化する。
他にも特殊系と言われるものまである。
他にも職業というものまであり、そのジョブには剣に特化した剣士、魔法に特化した魔法使いなど、初期ジョブだけでも軽く数百はあるといわれている。
そのジョブにはチュートリアルで選ぶ下位から始まり、中位、上位、とあるのを今は分かっている。
なぜわかっているのか。
チュートリアルの時、AIに説明され、それより上はあるのかと質問したものにAIはある。と答えたらしい。
ここまでが公式ホームページ、掲示板などに載っている情報であり、まだまだ未知を秘めているゲーム。
その自由度は、ほかのゲームとは比べものにならないほどであり、文字通り無限の可能性、自由度を秘めている。
未知のゲーム、今までにないほどクオリティ。
その言葉に惹かれたゲーマーは数知れず。
全国にも販売され、販売から1ヶ月たった時にはすでに100万人をこえるほどの人数がプレイをしている。
そんなゲームを一人の男がプレイする。
その男の名はアレアス・ヴォン・エリアス
偽名である。
男の本名を知る者は自分以外に存在しない。
この偽名はある人物に付けられたのだが、偽名をつけた人物さえも知りはしない。
真っ暗な部屋に、PCが動く音。
その男はPCなどが置いてある部屋に居り、フードを被っており顔は見えない。
メガネをかけていることはわかるが瞳は見えない。
PCが照らす光の中、青年はダンボールを開封し、説明書らしきものを読んでいる。
そのダンボールから取り出した「モノ」
ヘルメットのような機械つけ、横になり何かを呟いた。
その瞬間その男は意識を失いゲームの中に入っていった。
明日の十二時、1話投稿する予定です。