3/8
黄の勝利
黄は武館に着くと中に入って行った。残っていた門弟は慌てて道場主に報告に行った。
「先生、奴が来ました」
「ナニッ」
道場主が出てきて黄と対峙した。
「なぜ俺を付け狙う」道場主の崔が言った。
「お前は先生の仇だ」黄が言った。
「ならば、お前が奴の一番弟子の黄か。あの時、お前はいなかったな」崔が言った。
「そうだ。先生は病気していた。俺がいれば、あんなことにならなかった」黄が言った。
「と言うことで仇討ちか?御苦労な事だ」
「減らず口を聞いてる暇は無い」と言い、黄は崔に足刀を蹴り込んだ。崔はこれをさばき、蹴り返してきた。
双方、足技の応酬が続いた。
やがて黄の後ろ回し蹴りが崔の顔面にクリーンヒットした。
「ウヌッ」崔も後ろ回しを出すが虚しく空を切る。
黄の回し蹴りを浴び崔は倒れた。
黄は何事もなかった様に踵を返し武館を去って行った。
その有り様を見物人と一緒に李は見ていた。