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”報連相”をないがしろにしてる子、最近多いよね

 そろそろ名前がほしいところだろう。主人公の名前は出たものの、他の主人公の名前もないと区別がつきにくいと思う。


「じゃあ次は私の番ね。私はコトネよ。あなたと同じような名前でしょ」


 同じような、というのは同じ日本人らしい名前ということだ。

彼女はこの世界の住人ではないが、彼、つまりリュウと同じ、もしくは似たような世界、国に住んでいた。

それでも共通点は数えるほどしかなく、日本人とは違い、天然のブロンドヘアだし、聞けば生魚など食べたら死ぬという認識らしい。


「で、こっちがブリット。ブリット=B=バレット。名前の通り得意なのはガンアクションだよ。戦いのノウハウは彼女に教えてもらうといいかもね」


 心底嫌そうな顔をする彼女――ブリットは、見ての通りというか、想像通りというべきか、アウトローの巣食う世界、アウトサイダーの中のアウトサイダーが集う世界にいた。さらにそこでも唯一の最低の貧民街で育った彼女は、その荒んだ目や格好を見れば、どのような生き方をしてきたのか想像に容易い。


「ほかは、まああとでもいいわね。顔合わせたときにそれぞれ紹介すればいいし。今日はこれで帰っていいわ。これ、この鍵を使えば、どこの扉からでもここに来れるスグレモノよ」


 一見すればごく普通の鍵を渡された。鍵穴があればどこからでもアクセスできるというが、リュウが考えたのは、『引き出しでもそれできるのかな』、とかアホなことだった。



「必要な荷物とかあるでしょ。世間から隔離されるし、なんならこの世界から出ることもあるんだから、いったん帰宅して、明日また来てね。時間はいつでも大丈夫よ」


 全身を拘束されていたが、あっけなく解放された。しかも家の目の前まで送ってくれた。

――――といっても時間は過ぎ、現在は正午。もちろんこの日も講義はあるので、補講に補講を重ねることになったのだが。



「一晩いなかったなんて、親になんて言い訳しようかね……」


 3時に出かける時点で泊まりになるなど断っておくべきだったのだが、どう説明したものかと悩みながら結局無断で出てきてしまったのだ。


「……まあいいやとりあえず寝るか」


 彼はどっと疲れたので、とりあえず睡眠をとってから色々と考えることにした。

唐突に様々なことが起こりすぎたのだ。考える時間が必要なのは当然だろう。



 そして、―――― 一週間が過ぎた。



「――――ちょっとおおぉぉぉ! なんで来ないのよ?!」


 快活そうな女、いややかましい女が家まで乗り込んできたのはその時だった。



「いや、大事なこと言い忘れてたんだけどさ」



 コトネを始め、彼女らは一つ間違っていた。




「俺さ、――――お前らの仲間になるなんて言ってないからね」


 ……口を開けたまま固まった彼女が動き出すのに、今度はどれくらい要するだろうか。あまりのアホさに私はこの時、言葉を失った。

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