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いらっしゃいませ

 3月に入り気温は暖かくなったが、自分の心は荒んでいた。年度末である。本社への異動が決まり引き継ぎの真っ最中だ。さらに午後からは本社へ挨拶に行かねばならない。時計を見ると11時過ぎ。そろそろ出よう。

 ホワイトボードの高梨の欄に休憩→本社と書いたら「休憩して本社へ行ってきます」と言って外へ出る。いい天気だ。そよ風が心地よく肌を撫でていく。本社まで約1時間分。昼食は向こうで済ませればいい。13時前には挨拶に行けるだろう。


 都会らしく豪奢な駅を出ると先ほどまでいた町よりも多くのビルが立ち並んでいた。本社はこの駅から徒歩数分の所にあるという。そんな一等地に建てられるなら金払いもいいに違いない。期待に胸を膨らませながら本社に向かう。

 

 さあ本社に着いたが時間は12時。昼食をとろう。幸い道にはいたるところに飲食店がある。ざっと見て気になった店に入る。店名はcafe plain。ベーカリーカフェらしくフルーツをふんだんに使ったデニッシュや柔らかな卵のサンドイッチが並んでいる。どれもおいしそうだ。小さい店だが座席はほとんど埋まっている。人気店のようだ。忙しそうにパタパタと動いていた店員が自分に気づいた。


「いらっしゃいませ!」


 男にしては大きめの目、緩いパーマがかかった茶髪、流行の服装、見た目から大学生だと予想できる。何の変哲もない都会の青年だ。

 だがその時、彼の笑顔が自分の心を少し晴らしてくれたような気がした。

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