表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/69

変貌 5

 腰に手を当て、スミスは髪をかき上げる。

しかしその顔つきは、状況を読み取ろうと必死に見えた。

モンゼンは未だにわかっていないが、スミスはワールドライトとして有名なソードラットを知っている。

そのソードラットが今崩れるように血溜りに倒れ、モンゼンもまた身動きが取れない。

更に、ソードラットの傍でうずくまる異形の男。

状況が理解しきれていないのだろう。


「助かったぜ、ビヨンに略奪者がいてな」

モンゼンは簡潔に状況を伝えてやる。

「今僕が腕を斬り落としたのが、そうだね? よかったよ、間に合って。それに、鉱物が沢山ある町で」

ある程度状況が飲み込めたのか、スミスが頷いた。

「ピピピル! ピル!」

スミスの腰の辺りから、金属にぶつかる音とピピルの鳴き声がする。

「ああ、この子突然暴れだしてね。かわいそうだが、檻に入れたんだ」

そういって指差す先には、即席でこしらえた鳥かごがくくりつけられていた。


「ピピルー。ピルルルー」

ピピルは籠からモンゼンを心配そうに見ている。

しかし、モンゼンは何も言葉をかけない。

まだ戦いは終わっていなかった。

「いてて……どうしてくれるんだよ、おれの手」

スミスの後ろで、肘から先をなくしたブッチが立ち上がっていた。


「ああ、ごめん忘れてたよ。略奪者って嫌いなんだ、品がないじゃないか」

まるで脅威ではない、とばかりに余裕を持ってスミスがブッチの方を向く。

「でさ、僕の友達をこんなにしたのは、君かい?」

「ああ、モンゼンさんの友達なのか。そりゃうまそうだぜ、食うところ、あんまりねえけどよ」

もはやブッチの戦力は半減しているだろう。

しかし、彼は略奪者としての本能に忠実だった。


「でもポリポリやるには、ちょうど良さそうだよなあ!」

重い掌を振り回していた腕力は、全く衰えを見せない。

先端を失った腕を地面に叩きつけると、その勢いでスミスに向かって飛んで来る。

しかし食事を欲するその口は、求めるものに届く事はなかった。


「悪いけど、近寄らないでくれるかな」

動じた様子もなく、スミスが告げる。

「お、おい。どうやったんだよこれすげえな。いてえ。いてええええ」

驚きながら痛がるブッチの四肢は、地面から伸びた杭で貫かれていた。


「よかったよほんと、これだけ金属があれば僕、無敵」

悲鳴を上げるブッチをよそに、スミスが気取る。

しかし、すぐその表情が引き締められた。

「ねえモンゼン君。この人、知り合いなの?」

「ああ、そうだ。おれは会ったばっかだけど、ソードラットのな」

質問に答える顔が、自然と歪む。


「そうなんだ。様子おかしかったから動きとめるだけにしたけど、よかったかな」

すぐ止めはさせるけど、と言わんばかりの様子だ。

だが、そうもいかないだろう。

「ソードラットも別れくらいは言いてえだろう。動けないようにしといてくれるか」

「はいはい。で、キミのその足、治らないよね。どうする?」

「あー……。はぁ。しょうがねえだろ。やってくれ」

「痛くなく、は無理だから諦めてよね」

やがて来る、胸の痛み。

モンゼンはそこで、意識を失った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ