番外編 好きなら?
単発の番外編です。この続きは考えてません。
「おーい、棚橋ー。」
俺が校門に向かっていると、後ろから声をかけられた。
「ん?なんだよ?」
俺はその声の主に振り返り言った。
「今日、お前、ヒマか?ちょっと付き合えよ!」
「あー今日は無理だ。」
俺は自分の予定を思い出しながら答える。
「えー、なんでだよー。」
「えっとなー・・」
俺が納得がいかない友だちに説明しようとした瞬間、声が聞こえた。
「あ、けーいー。おひさっ!」
そいつは手を振りながら、俺たちの所に駆けてきた。そしてそのまま抱きついた。
「おい、さや!」
「なんだよ、棚橋。彼女かー。」
俺の友だちはそう言ってきた。
「いや、これは・・・」
「なにー。ウワサの棚橋の彼女ー?」
「うそ!!見たい!!」
「お、どれどれ?」
俺が説明しようとした時またもや遮られてしまった。しかも、どんどん俺の友だちが増え、騒ぎが大きくなってしまっている。
「うわ、きれい!」
「お前、こんなかわいい彼女だったのか。」
「なんで隠してたのよー。」
「おい、ちょっとお前ら待て!つーか、さやいい加減離れろー。」
俺はこれ以上騒ぎが大きくならないように牽制をかけてから、さやを引きはがした。
「だって、久しぶりだったんだもん。」
「だもんじゃないだろ、だもんじゃ。はぁ・・こいつは俺の幼なじみだ。」
「はじめましてー、松方 紗でーす。けいの彼女でーす。」
ピシっとさやは額の前で敬礼した。
「えっ!?やっぱ彼女なんじゃねぇーか!」
そしてさやの一言でさらなる誤解を生んだ。
「おい、さや!ふざけるなよな。」
「えー?なんのことー?」
俺はさやを怒ったが、さやは訂正すらしようとしなかった。仕方なく自分で訂正しようとした時、
「さ、や、ちゃん?」
「え、えみちゃん・・・」
いつのまにいたのか、さやの背後からえみはドスのきいた声を出した。
「い、いたの?」
さやは急にオドオドしだした。
「いたよ、ずっと。で、さやちゃんは、なに変なこと言ってるのかなー?」
えみの声はあいかわらず怖かった。
「えっと、これは、そのー。」
さやは視点が合っていない。よほど怖いのだろう。
「けいは!私の彼氏です!」
えみは俺の腕をがっしり掴んだ。
「え?え!?」
「おい、どういうことだ!?」
「そーだよなー。そうすっと俺は何になるんだろうなー?」
今度は俺の後ろから声がした。
「うわっ!びっくりしたー。なんだよ、ひろもいたのかよ。」
「俺だけじゃねぇぞ?あっちにかずとなおもいるぜ。つーかお前が遅いから全員で迎えに来たんだろ?」
ひろは校門のあたりを指さした。指されたかずたちはこっちに歩いてきた。
「あ、ほんとだ。いや、遅いって初めから俺は遅くなるって言ってただろ?」
「おい、棚橋!いい加減説明しろよ!」
俺の友だちはしびれを切らし、怒鳴ってきた。
「あー、わかったわかった。説明するから少し落ち着いてくれ。こいつらは全員俺の幼なじみだ。」
「はじめまして、長谷川 笑です。」
「中沢 宙だ。」
「村田 直です。」
「桜井 和だ。」
俺の説明に続いてそれぞれが自己紹介をする。
「で、えみがほんとの彼女だ。」
「私が彼女です!」
「そーなのかー。」
「さらに言うとさやはひろの彼女で、なおはかずの彼女だ。」
「ほら、行くぞ、さや。」
ひろはさやの腕を掴んで引っ張った。
「けい、俺たちは校門で、待ってるぞ。」
「ああ。」
そう言ってひろたちは俺から離れた。
「今日はあいつらとの約束があるから。つーわけで今日は無理だ。じゃあな。」
そう言ってその場を去ろうとした。
「なー、お前の彼女とか幼なじみ、美男美女すぎじゃね?」
俺の友だちはそう言った。
「うーん?そんなもんか?どうなんだろうな。じゃあな。」
俺は適当に流してかわした。
「何の話してたんだ?」
俺がひろたちの所に着くと、ひろが聞いてきた。
「お前らが美男美女だって話。」
「ああ、そういえばそうか。」
ひろはやけに納得した。
「そうなの?」
だが、さやはわからなかったみたいだ。そんなさやに対してなおは口を開いた。
「そうなんじゃない?自分のことはともかくあんたらは美男美女だよ。」
「そういやー俺もよく言われるようになったなー。」
かずは自分のことを思い出しながら言った。
「高校までは地元のやつはほとんどそのまま上がるからなー。見慣れて何か言われることほとんどなかったもんなー。」
今度はひろが説明するようにそう言った。実際、俺も久しぶりにそう言われた。
「で?今日はどこ行くんだ?」
「いつものとこ!」
「・・・さよか。」
俺の問にはさやが答えた。するとえみが肘で俺を突っついてきた。
「?なんだ、えみ?」
「もうずいぶん平気みたいね?」
「ああ、さやのことか?」
「うん。」
「まあな、もう半年経ったしな。」
「よかった、元気になって。」
「お前はいつも俺のことばっかだな。」
「そんなことないよ?」
「・・・なあ、今度ヒマか?デートしないか?」
俺がそういうとえみは黙り込んでしまった。
「えみ?」
俺が顔を覗きこむと、
「うん!」
と元気よく返事をされた。
「どうした?いきなり。」
「だってけいから誘ってくれること少ないもん。」
その言葉に今度は俺が黙り込んでしまった。
「悪い。そんなつもりはないんだ。」
「ううん、いいの!私、誘うのも好きだし。でも、じゃあ悪いと思うなら、手!繋いでよ。」
「ああ。」
俺はえみの言う通り手を繋いだ。
「行こー。」
えみは急にテンションが上がりウキウキしだした。好きな人と歩くのはそれだけで楽しくなれる。恋とは不思議なものだ。
物語を完結させた瞬間から、びっくりするほど爆発的にPVが増えました。ほんとにびっくりしてます。1日に800PV超えたりもしました。今ではユニークが500超えました。読んでくださり、感謝の限りです。ありがとうございます。