こんなことになるなんて聞いてない 3/3▲
職員室へ行くために、通称”職員室前階段”に向かう。
東階段や北階段など階段はいくつかあるけれども、一番利用する階段は職員室前階段だ。
一年生は三階、二年生が二階、三年生が一階というややこしいシステムのため、一階の職員室へ向かうには階段を二階分降りる必要がある。
この階段の昇り降りが地味にきついのだけれども、文系的にはこういう機会に少しでも運動した方が良いのかもしれない。
昼休みだからか、手すり側にも壁側にも立ち止まって話している女子が結構いて、階段はそこそこ人で溢れていた。
降りにくいから階段で話し込むのはやめてもらえないかな、と思いながらも、もしも美琴と違うクラスだったら階段で話すくらいしか話す場所がないのかもしれない、とも思う。
トントントンと、呼び出されているので少し素早く、そしてリズムよく階段を降りた。
長い階段には踊り場があって、踊り場で方向転換する。
そして次の階段を降りて少しした時、どんっと背中に勢いよく衝動が加わった。
「うわっ」
それは、ぶつかった、などというものではなく、まるで、誰かに突き飛ばされたような衝撃だった。
手すりを掴もうとしたけれども、真ん中を降りていた私の手にあと少しのところで手すりは届かなくて。
せめて頭だけは守らないと、と思い、伸ばした手で顔と頭を守るように覆う。
何とか少しでも怪我をしないように、としか考えられなかった。
訳もわからないまま、体中に衝撃が襲い、階段から転がり落ちていく。
その間の感覚は、まるでスローモーションのようだった。
その中で確認できたことは二つ。
私を突き飛ばしたであろう人は、全然知らない男子生徒であることと。
その男子生徒が
「お前なんていなくなってしまえばいいのに」
と低い声で私に向かって言ったことだった。
いつも誤字脱字報告、ありがとうございます。
自分では気がつかないであろう誤字脱字が多いので、助かります。
記念すべき第100話です!
100話を超えるとは最初思っていなかったですね・・・。
もう少しだけ続きますので、最後までお付き合いいただけると幸いです。