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こんなことになるなんて聞いてない 2/3▲

そんな生活が続いたから、私は油断していた。


遠くから嫌なことをしてくるだけで、直接的には何もしてこない、と。



「あ、そういえば、今日の昼休み部長会議があって行かないといけないのよね」


夏休みが開けて、美琴は美術部の部長になった。


受験に専念できるようになっているのか、この学校では、部長は一年生の夏から二年生の夏までなのである。


よって剣道部もお兄ちゃんが部長の時代は終わりで、次の部長は柚葉くんらしい。


私も美琴に美術部の副部長にならないかって誘われたけれども、副部長なんて大変な職は丁寧にお断りしました。


「どうする?湊さんにでも連絡して一緒にお昼ご飯食べてもらう?」


美琴は心配そうに言うけれども、今そんなことをしても火に油を注ぐ結果になりそうだから遠慮したい。


「小学生じゃないんだから、平気だよ。教室で大人しく待ってます」


「絶対、絶対大人しく教室で待っているのよ」


・・・。もしかしたら美琴。私のこと小学生だと思っているのかもしれない・・・。




昼休み猛スピードでお昼ご飯を食べた美琴は、


「絶対教室で大人しくしてるのよ!!」


と再び念押しをすると、心配と書いてある顔で会議に向かって言った。


その背中を見送って、美琴の言いつけ通り教室で大人しく数学の復習でもすることにする。


先日あった小テスト、全然解けなかったんだよね・・・。


元々数学は苦手な教科だったけど、最近ますます苦手になってきた。


お兄ちゃんに頼らないと、今度のテストはまずいかもしれない。


そう思って教科書の練習問題とにらめっこしていると、校内放送が聞こえてきた。


「1年1組の三枝唯花さん。数学の槙先生が呼んでます。至急、職員室の槙先生の所に来てください」


繰り返されるそのアナウンスを2回聞いたところで、私が呼び出されている、という事実には変わりはないらしい。


うーん。どうしよう。


これがもし、廊下で誰かが『槙先生が三枝さんのこと呼んでるんだって』っていう呼び出しだったら、私も全然気にしなかったと思う。


けれど、校内放送で、しかも先日あった小テストが全然解けなかったという負い目がある私には、どうしてもこの呼び出しが嘘であるとは思えなかった。


うん。気を付けて職員室に向かえば大丈夫だよね。




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