過激になるなんて聞いてない 4/4 ▲
「あたしもそう思ったのよ。でも、生徒会室に入っていく姿を確認したし、それ以降退席したかどうかも真咲さんに聞いたら、ずっと一緒に生徒会の仕事をしていたって。だからアリバイはあるのよね」
なるほど。まぁ、山口さん以外にもお兄ちゃんのことで一緒に暮らしてるってだけで恨まれている自信はあるから、お兄ちゃんの事を好きすぎる人の誰かなのだろう。
「って、生徒会、もしかして今回の件真咲さんに話したの?」
そうなるとお兄ちゃんに伝わることは必至だ。
「言ってないわ。というか、生徒会の活動日だったからあたしもこの作戦を昨日実施したのよ。
・・・。でもこの件、あたしの手に負えないレベルかもしれないから、湊さんにきちんと話した方がいいんじゃないかしら」
確かに、それはそうなのだけれども。でもお兄ちゃんに余計な心配を掛けたくはなかった。
「美琴に・・・。美琴に迷惑を掛けていいと思ってるわけじゃないんだけど。でも美琴なら、部活もクラスも同じだから、登下校とか、私が合わせればいいけど、お兄ちゃん相手だとそうはいかないから。
お兄ちゃんに話せば多分朝練を休んで私に合わせて登校してくれて、夕方も部活とか生徒会の仕事をしないで一緒に帰ってくれて・・・。私が合わせるって言っても、お兄ちゃんが私に合わせてくれると思うんだ。
お兄ちゃんはすごい人だから、私の為にそんな風に時間を使ってほしくないの」
昨日もお兄ちゃんと買い物に行って思った。
私さえいなければお兄ちゃんはもっと自由なんじゃないかって。
「私の為って、唯花の為っていうより、湊さんの所為じゃない」
うーん。でも結局は私を守る為でもあるし。
「その理屈で言うなら、お兄ちゃんだって悪くないよ。お兄ちゃんはお兄ちゃんってだけだもん。
・・・。美琴が心配してくれるのは分かってるし、言いたくないのが私の我儘だってことは分かってる。
でもそれを分かった上で、ギリギリまでお兄ちゃんに言いたくない。
しばらくしたら犯人も飽きるかもしれないし、美琴には迷惑を掛けるけど・・・。お願い」
手を合わせてそう言うと、大きなため息が美琴の方から聞こえきた。
「分かったわよ。あたしが絶対に唯花のことを守るから。
だから唯花はあたしの言うことを聞くこと!良いわね」
そう言ってくれる美琴は甘くて優しくて。
こんなことに巻き込んでいけない人だってことを、私は全然理解していなかった。