手紙が届くなんて聞いてない 2/3 ▲
まさか自分が写っている写真が入っているとは思ってもみなかった。
そう思って、気持ち悪いな、と思いながらも美琴が持っている写真をよく見ることにする。
どうやらスーパーで買い物している私の写真らしい。
ここ最近でこのスーパーに買い物に行ったのは昨日だから、昨日撮られた写真っぽいけど……。
いやはや。全然気がつかなかった。
私にはお兄ちゃんのように写真を撮られたのが分かる特殊能力はないから……。送りつけられないと気が付かないよ……。
「いやでも良かった。昨日行ったのがスーパーで。アニメイトだったらオタクが皆にバレるところだった」
しばらくアニメイトに行くの止めておこうかな、そう冗談めかして美琴から写真を取り返そうとすると、蒼褪めた顔のまま、馬鹿!と美琴に怒られた。
「冗談言ってる場合じゃないでしょ!!」
ですよねー。でもなんか、美琴にそこまで蒼褪められると、逆に冷静になるっていうか。
まだ事の重大性を理解していないというか。なんというか。
「はー。あたし、思い違いしていたのかもしれない」
そう言いながら美琴は震える手で、写真を封筒に仕舞った。
「思い違いって……?」
なんだろう。私はこれもお兄ちゃんのファンの嫌がらせの1つだと思っているけれども。
「今まで物がなくなっていたのは、あんたのお兄さんのファンの嫌がらせの仕業じゃなくて、あんた狙いだったってことよ」
一体、どういうことでしょうか。
ピンと来ていない私の表情を見て、美琴は再び大きなため息をついた。
「だから、これ、柚葉くんの仕業なんじゃない?」
……。え?
「いやいやいや。それはないって!それはないって!」
うん。柚葉くんがそんなことをするばずがない。
「そうかしら。人の心なんて分からないでしょ?ましてや、良く知らない人のことなんて、特に」
確かにそうだけど……。
ちらっと教室にいる柚葉くんを見たところ、福岡君と楽しそうに話していて、いつもと変わらないように見える。
それに少ししか一緒にいなかったけれど、柚葉くんは、そんなことしない人だと思う。多分。
「そうだけど、やっぱり、違うと思う」
「まぁ、信じられないけど。あー。でも、部活があるから、柚葉くん本人が写真を撮るのは難しいかしら……。そこにアリバイがあれば……。でも本人が写真を撮るとは限らないわよね」
そう言われて、思い出した。昨日部活が無くなったと、スーパーから帰ったら家にお兄ちゃんがいたことを。