物が盗まれるなんて聞いてない 2/2 ▲
放課後まで待ったけれど、上履きが返ってくる気配はなく、帰りに買って帰ることにした。
上履きがないこと以外は案外普通だったので、もしかしたら足が生えて逃げたのかもしれない。
そう思っていたら、その2日後、体育を終えて教室へ戻ると、どうやら現代文の教科書にも足が生えたようだった。
「いや、足が生えたんじゃなくて、嫌がらせでしょ、絶対」
次の授業が現代文だったせいで、教科書がなくて困った私は、仕方なく美琴に相談することにした。
「あーもう!そんなことするかな!!唯花に嫌がらせする奴がいるなんて許せない!!!!」
なぜ仕方がないのかというと、美琴に相談すれば、こんな風に怒ることが分かっているからだ。
「あたし探しに行ってくる!!!」
いやいやいや。そんな干し草の中から針を探すようなことをしても、多分出てこないし、出てきたとしても悲惨な姿で出てくるような気がするし、そもそも授業に遅れるしで、全然良い事がないからやめてほしい。
「美琴、大丈夫だから」
「でも……」
「ほら、美琴よく言っているでしょ?私社長令嬢だから、教科書買い直すくらい平気だって」
そう。全然痛くも痒くもない。教科書を買いなおす手間が面倒なくらいで。
「唯花……」
「ほら、チャイム鳴ったしさ、今だけ見せてもらえればいいから!ね」
いまいち納得していないような美琴をなだめ終わったころに、現代文の先生が教室に入ってきた。
そろそろ更新疲れてきたので応援してもらえると嬉しいです(小声)