プリクラなんて聞いてない!3/4
「折角だし、ゲームセンターに行かない??」
駅に向かって歩いていたら急に兄が信じられない提案をしてきた件について。
何が信じられないってお兄ちゃんの口からゲームセンターという言葉が出てきた点である。まだオペラ鑑賞に行かない?って言われた方がすんなり耳に入ったんじゃないか。
ゲームセンターはカラオケと同じくらいお兄ちゃんに似合わない言葉だなぁと思いつつ、それはさておきこの状況をどうするのかを考えなければならない。
さっき『唯花の時間を邪魔したくなくて』というキザな台詞を言った人が「ゲームセンターに行かない?」と言うのは、私からしてみれば矛盾を感じるのだけれども、それを指摘する勇気が私にはないのでそれを理由に断るわけにはいかないし。
かと言って、明日も学校があるから今日は家でゆっくり過ごしたいという本当の気持ち以外に断る理由がなにも思いつかなかったし、考えるのも面倒になったのでとりあえずゲームセンターには行くことにした。
オペラ鑑賞だったらどんな言い訳を使ってでも断ったけど、ゲームセンターなら楽しめるだろう。
「お兄ちゃんが行きたいなら良いよ」
「本当!?良かったー」
お兄ちゃんが不安そうな顔からものすごく嬉しそうな笑顔になった。
そ、そんなにゲームセンターに行きたかったのかな……。お兄ちゃん一緒に行ってくれる友達いないのかな。と少し心配しつつ、電車に乗りゲームセンターに向かう。
それにしてもゲームセンターで遊ぶのは久々だ。受験生の時は勉強に励んでいたし、その前はゲームセンターでお金使うくらいなら漫画買ったほうが良いよねみたいな思考回路だったので、正直に言うとゲームセンターなんて全然遊びに行ったことがない。
いや、もちろんゲームセンターで遊ぶのも楽しいけど、ゲームセンターのゲームって上手い人は100円ですごく楽しめるけど、私は下手なのですぐにゲームオーバーになってしまうから、楽しさよりも悔しさの方が勝ってしまうのだ。
何度も遊べば上手くなっていって、より楽しめるのだろうとは思うけれど、あっという間にお金が消えていくのは切なさを感じてしまう。
というようなことを思った日以来のゲームセンターなのであった。