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他人のアドバイスは聞きます。2/2(side湊)

ステージに上がってきたのは、同級生で書記の山口佐鳥(やまぐちさとり)さんだ。


千葉曰く、山口さんはうちの学校一の美少女で、その美貌を活かして男子の票と一部の女子の票を見事に掻っ攫い、無所属で書記の座を射止めたらしい。


正直唯花以外の女子は皆同じに見えるので、学校一の美少女かどうかは分からないけれど、千葉がそう言うのなら世間的にはそうなのだろう。


俺的には唯花が一番だけど、人の美しさというのは結局主観なのでここは大人しくしておくとこにする。唯花の可愛さは俺だけが知っていればいいしね。


「湊会長。受付の方は片付けが終わりましたわ」


ふむ。受付の撤収は終了か……。そうだな。椅子の収納にまだ人手がいるようなので、椅子の方を手伝ってもらうことにしよう。


「じゃあ椅子の片付けを手伝ってもらえるかな?」


「分かりましたわ」


そう言って優雅にスカートを翻しながら階段を降りようとする彼女の姿を見ていたらはっと閃いた。そうだ。彼女に聞いてみればいいんじゃないか?


いつもは男子に相談しているけれど、たまには女子の意見も必要だろう。そう思って椅子から立ち上り、彼女に声を掛ける。


「待って!あのさ、山口さんが放課後に遊びに行くとしたらどこに行きたい?」


そう聞くと、くるりと振り返った彼女は頬を赤く染めて優雅に微笑んだ。


「え、(わたくし)ですか?そうですね……。本日は時間もありますし、カラオケなども良いのですが……」


あぁ、カラオケという選択肢もあったか。いや、でも一度も行ったことがないので、まずは真咲を連れて下調べをしないといけないし、歌う曲についても検討しないといけないので、今日は無理だ。


「私は是非、カラオケよりもプリクラを撮りに行きたいですわ。記念に残りますし」


なるほど、プリクラか。プリクラなら手軽で記念に残るし、撮り終わっても他のゲームを楽しめば良い時間が過ごせそうだ。


それに唯花が欲しそうにしたクレーンゲームのアイテムを颯爽と取ってあげることができれば、完璧な放課後になるだろう。


ゲームセンターなら中学生の時の生徒会の打ち上げで行ったことがあるので、あまり詳しくはないが大方の雰囲気は掴んでいる。嫌々だったが、あの時行って良かった。


「そっか。良いアイディアを聞かせてくれてありがとう」


プランは決まったし、後は唯花を誘うだけだ。オリエンテーション中だしメールが良いかなー。文面どうしようかなー。


「あ、あの……それだけですか?」


椅子に座って考え込んでいると、とっくに去ったものだと思っていた山口さんがまださっきの場所にいて声を掛けてきた。


「それだけって……。どうかした?」


他に何か足りなかったことがあるだろうか。この後の指示はきちんとしたし、お礼だってきちんと言った。


もしかしてあのお礼の言葉では足りないとでも言うのか。


「い、いえ。なんでもありませんわ」


そう言って顔をさっと青くした彼女は急いで階段を降りようとしたが、なぜか思いとどまって再びこちらを振り返った。


「そういえば、先ほど三枝(さいぐさ)唯花さんという女子生徒が新入生にいたと聞いたのですが、もしかしてご親戚が何かですか?珍しい名字ですので、皆気になっていますの。私は千葉会計から湊会長に妹さんがいらっしゃると聞いているので、妹さんかしらと思っているのですが……」


あぁ。確かに珍しい名字だし、気になる子がいてもおかしくないか。


「妹だよ。妹って言っても、両親が再婚して出来た義理の妹だけど」


千葉の時のように俺の弟が結婚して出来た義理の妹だと思う奴はいないと思うが、念のために先に言っておくことにする。


「そう……なのですか」


「そうだよ。可愛い妹だから、是非楽しい高校生活を送ってもらいたいなって思ってるんだ。だから、仲良くしてあげてね」


そう自分の中で対人用の最大級の笑顔で言うと、彼女は顔を真っ赤に染めてさっと目を逸らして、


「勿論ですわ!!」


と言って、今度は立ち止まることなく階段を降りて行った。

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