生徒会長になっているなんて聞いてない!1/2
両親が再婚して二度目の春となり、いよいよ今日は高校の入学式だ。
受験勉強を頑張った甲斐があり、私も美琴も無事に睦月高校に合格することができた。
いやー。二人とも合格できて本当に良かった……。
これで楽しい高校生活になりそうだと期待に胸を膨らませながら、鏡の前でもう一度自分の制服の姿を確認して、私は家を出た。
お兄ちゃんは入学式の準備があるらしく、朝から出かけたので、今日は一人で登校だ。
割と時間に余裕を持って家を出たので、結構早く学校に着くことができた。
校門をくぐり、入学式の行われる体育館の入り口に着くと、そこには受付があった。
どうやら新入生は受付を済ませないと体育館の中に入れないらしく、他の新入生と同様に受付に並ぶ。
うーん。ここまで来て言うのもあれなんだけど、この名簿に名前載ってなかったらどうしよう。
深刻な顔で校長室に連れて行かれて、実は受かってなかったんだ、ごめんね!みたいなことを校長先生に言われたらどうしよう。
などと不安に苛まれていたら、意外と早く自分の番になった。
「入学おめでとうございます。お名前をどうぞ」
「さ、三枝唯花です」
そう笑顔で優しく言ってくれる女性の先輩に、自分の名前を告げると他の受付にいた先輩を含めてざわめきが起こった。
まさか本当に名前載っていなくて、なんか名簿に名前の載っていない人物が新品の制服を着て受付に来てるぜ!っていうざわめきなのだろうか。
そう思って固まっていると、
「どうぞ」
とざわめいていた女の先輩が優しく冊子を渡してくれたので受付から離れた。
冊子を渡してくれたということは自分の名前が載っていたということだろう。
そう思ったけれど、受付の人たちは列を離れた私のことを凝視していたので、冊子を確認するために急いで体育館の中に入った。
そして貰った冊子を慌てて開く。
その冊子は新入生の名簿や学校の心得などが書いてあり、新入生の名簿を急いで見ると私の名前はきちんと載っていた。
ちなみに美琴と同じ一組だった。
やったー!!美琴と同じクラスになれた!!
じゃなくて、きちんと載っていたのであるならばさっきの受付のざわめきは何だったのだろう。
とりあえず体育館の鏡で自分の姿を見たけれど、歯に青海苔がついているとかいうこともなく至って普通の私がそこにいた。
とりあえず考え得ることは考えたので新入生の座る椅子に座って美琴を待つことにする。
椅子に座って新しく買ってもらったスマフォを眺めていると、メールが来た。
美琴かと思ったがお母さんだった。
仕事を調整したけれどどうしても今日の入学式には行けないの。ごめんなさい。というメールだったが、想定の範囲内なので気にする事項ではない。
気にしなくていいよ。今日の写真は美琴に撮ってもらうね、というメールを返信して、美琴には遅いけど大丈夫?とLINEを送る。
送ってしばらく眺めていたが既読はつかなかった。
うわー。一人孤独すぎてスマフォの画面から顔を上げられないんですけどーと思っていると、
「唯花!久しぶり!」
と美琴が新しい制服を堂々と着崩して登場した。