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そんなに高い誕生日プレゼントを貰うなんて聞いてない!

「ありがとう。わざわざ学校まで送ってくれて」


今日はいよいよ高校受験の日だ。


お兄ちゃんは、学校が試験会場なので今日はお休みのはずなのに、心配だから、と付いて来てくれたので、そのお礼を言う。


確かに下見したとはいえ、通い慣れていない場所に試験日に一人で行くのは少しだけ心細かったので、助かった。


「気にしなくて良いよ。よし、これで完璧」


電車に乗っている間にぐじゃっとなっていたのだろう。お兄ちゃんはマフラーと髪の毛をささっと直してくれた。


「じゃあ、行ってきます」


緊張で、若干声と手が震えてしまった。その様子を見かねたのだろうか。


「大丈夫。唯花なら、大丈夫だよ」


お兄ちゃんがそう言いながら手をぎゅっと握ってくれて、心が少しだけ落ち着いた。


そうだよ。あれだけ一生懸命頑張ったのだから、きっと大丈夫だ。


それでもお兄ちゃんの手を握ったら少しでも頭が良くなるかもしれないと思って、暫くぎゅとした後、私は兄に背を向けて学校の中へ歩き出した。


うわー。緊張する。


学校の中で会った美琴も、流石に今日は緊張しているようだった。


いつもは割と何でも余裕の表情を浮かべているというのに。


何故か緊張している美琴を見ていたら逆に冷静になってしまった。私がしっかりしなきゃ、みたいな気持ちになる。


いろいろな説明を受けた後、机に着いて試験問題が配られた。じっと椅子に座ってチャイムが鳴るのを待つ。


待っている間、誕生日にお兄ちゃんから貰った時計をじっと眺める。


時計は持っているけれど、電波時計は持っていないので、受験の日にはお母さんから時計借りないといけないなーと思っていたので、時計のプレゼントは嬉しかった。高校生になっても便利だし。


けれど、ピンクゴールドでものすごくキラキラしているこの時計は、時計に詳しくない私でもわかるくらい高そうだった。


だって電波時計だし、10気圧防水だし、ソーラー時計だし。他にもなんかよく分からない機能ついてるし。すごくキラキラしてるし。おしゃれだし。


というわけで貰った時は高そうでものすごく気が引けたのだけれど、お兄ちゃんは生まれた時からお金持ちだから、私とは全然金銭感覚違って、これが普通なんだろうって思って使うことにした。


それは普段からおしゃれで高そうな洋服を平気で部屋着として着てるところからも読み取れる。


だから、クリスマスに高そうなネックレスを貰って正直びっくりしたけど、今度から使おうと思った。


ちょっと私と感覚が違うなーって思うところもきっとお金持ちのお家に生まれてきたからなのだろう。


そのことをもっと早く理解していたら、もっと高い誕生日プレゼントにしたんだけどなー。


何故か分からないけれどお兄ちゃんの持ち物の中で安物だったシャーペンと手ぬぐいと、エプロンも着けずに高そうな服で料理をするので、エプロンがプレゼントに丁度いいと思い、一応兄のレベルに合わせようと私が見た売り場で一番高かった物を買ったのだけれど、それじゃまだまだ甘かったようだ。


もっと高級なお店で買うか、ネットでもっと高くて使いやすそうな物を注文すればよかった、と後悔したところでチャイムが鳴って試験が始まった。

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