友人に妹について相談してみました。 (side 湊)
「へー。これが湊の新しい家かー。どう?新しい生活の感想は」
唯花ちゃんが友達の家に勉強会へ行くと出かけたので、前々から新しい家に遊びに来たがっていた真咲を家に呼ぶことにした。
「うーん。正直家の中で階段を上り下りするのが面倒くさい」
前の家はマンションだったので、今回初めて一軒家に住むというのもなかなか大変であるということを知った。
「平屋にするか、家の中にエレベーターついてる家に引っ越せよ、お前・・・・・・。ってちがーう!そういうことを聞きたいんじゃねーよ、俺は。新しい家族のこととかが聞きたいんだよ。妹どんな感じ?」
「え、うーん。普通に良い子だよ」
距離が少し遠いような気がするけれど、会話をすればきちんと返事をしてくれるし、家事もしてくれるし、本当に真面目でいい子だと思う。
「なんでそれでちょっと不服そうなんだよ。再婚が決まった時に一番懸念していた要素である妹が良い子で良かったじゃないか」
確かに再婚する前は好きになられてべたべたしてくる妹は一番最悪だなぁとは思っていたけれども。
「いや、まぁそうなんだけど、ちょっと距離が離れすぎなんだよね。なんていうか多少でいいからお兄ちゃんって甘えられたい」
折角兄妹になったわけだし。こう、兄妹らしい距離感になりたい。
まぁ、今の距離感が最善であることは分かっているのだけれど。
「うちは妹と六歳差があるから妹も平気で甘えてくるけど、年の差近かったら甘える妹っていうのはあんまりいないんじゃないか?というか急にできた兄に一歳差で甘えろというのは無理があるだろう」
「分かってるよ」
「じゃあお前から歩み寄ったらいいじゃないか。妹、家でどんな感じなの?」
どんな感じって。
「ご飯の時はテレビ凄く見てるけど、ご飯食べ終わったら見ないからテレビが凄く好きなわけじゃないと思う。あと家事の手際はいい。話しかけると笑顔で応対してくれる。それ以外は部屋から出てこないからよく分からない」
うーん。あとは多分朝が弱い。
「え、えーと。そうだ、今年受験だから部屋で勉強しているんじゃないのか?今日も勉強会へ行ったということなら、きっと勉強意欲の高い妹に違いないぜ」
「そう、かな」
確かにそうかもしれない。よく夕飯の時に手に鉛筆とかペンのインクが付いてるし、ペンだこあるし。
「そうだよ。だからさ、コーヒーでも三時頃に入れて部屋に持って行ってやって、すかさず一言、『勉強大丈夫?分からないところがあったら教えるよ』って聞いてやれば距離感縮まるって」
「えー。でもさ、それって頭の良さひけらかしてるみたいじゃない?」
「県下一の高校に進学している兄はいう権利のある台詞だと思うよ!?というか、大体の人がその台詞は気遣いと優しさで出来ていると答えると思うよ」
そう、だろうか。あー。もうよく分からない。
「いいよ、多分俺たちはこの距離でいいんだと思う。仲悪いわけじゃないし」
「ま、お前がそう言うならいいけどさ」
妹って可愛いものだぞ、と真咲は言った。