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新キャラなんて聞いてない!1/3 (side 湊)

「はぁぁ」


インターハイが終わって1日ゆっくり休んだ次の日、俺は学校に来ていた。


夏期講習のためである。


参加は本当は自由なのだけれど、生徒会長を目指す身としては、夏期講習前半は剣道部の練習のために休んでいたので、後半で夏期講習にも積極的に出席している姿勢を見せないといけないのであった。


次期生徒会長を目指さないのであったらサボって唯花の勉強している姿を眺めるんだけどな……。


今頃唯花は俺おすすめの参考書を解いているだろう。家に帰ったらその参考書の分からないところを教える、という約束である。


はぁ。早く家に帰りたい。


「溜息も吐きたくなるよなー。せっかくの夏休みなのに唯花ちゃんと離れ離れにされるなんて……!って気分なんだろ。分かる分かる。俺もせっかくの夏休みなのに剣道の練習できないの辛いもん」


インターハイが終わっても相変わらず真咲は剣道馬鹿だった。


「まぁ、もちろんそれもあるんだけどさ……。唯花が、インターハイ優勝のお祝いに有名なケーキをわざわざ行列に並んで買ってきてくれてね、最初は俺のために買ってきてくれたんだって有頂天になったんだ。だってわざわざ行列に並んでくれたんだよ??嬉しいじゃん?」


「お、おう」


「だけど、『前にテレビで見てね!凄く食べたかったから夏休みしか買えないよね!って思って買ってきたの!』って言うセリフを聞いたらもしかして俺のためじゃなくて自分のために買ってきてたのかなっていう疑惑が俺の中で渦巻いて……。真咲はどう思う?」


神妙な顔をした真咲が答えようとした瞬間、ガラガラガラーっとけたたましい音を立てて、ドアが開いた。


「みんなおっはよー!!うっわー!!!三枝(さいぐさ)(みなと)くんと若山(わかやま)真咲(まさき)くんがいる!!そっか!!夏期講習だもんね!クラス違っても選択によっては同じクラスなのか!そっか!なぁなぁ。隣に座ってもいい?」


そう言いながら髪の毛がギリギリ先生に怒られない程度に茶色くして、制服を着崩した男が、許可もしていないのにささっと真咲の隣の席に座った。


誰だよ、という顔で真咲の顔を見ると、真咲は彼のことを知っているようだった。


千葉(ちば)桐葉(きりは)。睦月高校の三大イケメンのうちの一人。女たらし。隣の隣のクラスだからお前は知らなくて当然かもな」


隣の隣のクラスの奴のことを知っているなんて流石情報通である。


「あ、もしかして湊くん俺のこと知らない?俺は湊くんと真咲くんのこと知ってるよー!湊くんは剣道部のインターハイ、優勝おめでとう!!真咲くんは惜しかったよね!中継見てたよ!弟が剣道してるからね!弟は受験生なんだけど二人のいるうちの高校に絶対に行くって言ってたよ!いやーお兄ちゃんとしてはお兄ちゃんがいるから行くって言って欲しかったんだけどね」


なんだろう。今まで仲良くしたことのないタイプの人間だ。



というか、知り合いは多いけど真咲以外に仲いい奴はいないから、当たり前といえば当たり前だった。

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