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こんなに一緒に過ごせないなんて聞いてない!2/2 (side 湊)

「なんだよ。やらなきゃいけないことって」


怪訝そうな表情を真咲は浮かべる。


「この間ふと思い出したんだけど、唯花の志望校、睦月高校(うち)じゃなかったことに気が付いた」


この話をしたのは、一緒に暮らし始めてから二日目のことだったで、あ、そうなんだ。ふーん。くらいにしか思っていなかったのだけれど、今あらためて思い返すとものすごく重要な内容だった。


「へー。どこなの?」


「弥生高校」


高校をランク付けするなら、睦月高校、如月高校、弥生高校、卯月高校……という順になる。


「弥生高校かぁ。まぁ、悪くないんじゃないの?普通に頭良い方だし」


初めて聞いたときはそう思ったんだけどね!


「俺は!二年間一緒に通いたいの!一緒に登校したいし、お昼も食べたいし、体育祭も文化祭も一緒に出たいし、廊下ですれ違いたいし、唯花が借りた本借りたいし、テスト終わったら放課後一緒に遊びたいし、テストなくても放課後一緒に帰りたい」


あと願わくば剣道部のマネージャーしてほしい。美術部に入るだろうから、叶わない夢であることはわかっている。


「はっきり言って、そこまで唯花ちゃんが付き合ってくれる保証はどこにもないと思うんだけど」


呆れたように真咲は言うけれど、


「『愛想をよくして主導権を握れ』そう言ったのは真咲、お前じゃないか」


俺は全ての伝手をつかって、手段を選ばないで、そのことを実現したいと思っている。


しかし、さっき言った願望は、本当に唯花が嫌がったら身を退くつもりだった。


だけど、同じ高校に通うことだけはどうしても譲れない。


「はぁー。余計なこと言ったかな、俺。でもま、協力してやるよ。お前が剣道部員で居る間はな」


さっきの辞めるという発言が効いたのか、真咲の協力に条件がついてしまったが、逆に言えば剣道部である間は絶対に協力してくれるということだ。


「ありがとう。俺、部活も頑張るよ」


辞められるなら辞めたかったけれど、それが協力してくれる条件だというのなら、俺も俺なりに義務を果たすつもりだ。


真咲は、唯花を手に入れるために絶対に必要だから。


「精々頑張ってくれ」


溜息をつきながら、けれども覚悟を決めたように真咲はそう言った。


「で、どうしたらいいと思う?唯花の説得」


ここ数日悩んだけれど、なんと説得すれば良いのか分からなかった。正直に言えば来てくれないに決まっている。


「そうだなぁ。あ、聞いた話なんだけど、なんか弥生高校、ちょっと前まで荒れてたらしくて、今すごく厳しいらしい、いろいろと。あとは……そういえば美術部だったよな?うちの学校の美術の先生は有名な先生らしいから、それだけでも来る価値はあるんじゃないか?」


「なるほど……」


部活で学校を決める人も多いと聞くし、美術部を理由に説得するのは良い考えだと思う。勉強の方はまだ日数もあるしなんとかなるだろう。弥生高校を目指してるくらいだし。


「あと、生徒会長になるために今度の生徒会選挙に出ようと思ってる」


うちの学校の生徒会選挙に学年は関係ないから、たとえ一年生だろうと出られるのだ。


「え、お前生徒選挙に出るの?部活に入ったしてっきりそれを口実に生徒会長しないのかと思ってた」


確かに中学生の頃は慣れないことばかりで色々大変だったけれど大分要領は掴んでいるし。


「だって、唯花の入学式に生徒代表で挨拶出来るんだよ?それにその先の体育祭と文化祭でも俺の雄姿を見てもらいたいんだもん。あ、真咲は副会長ね」


そのためだったら両立できる自信がある。


「お前……それだけのために生徒会長するのかよ……。しかも俺が副会長って……。はぁ……まぁ、いいけど」


唯花に格好いいところを見てもらう。そのためだったらどんなに面倒くさいことになろうが、頑張るつもりだった。


多少は忙しくなるかもしれないけれど、それはまぁ、許容範囲内だ。

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