138.こんなシスコンになるなんて聞いてない!3
様々なことがあった文化祭準備期間も終わり、とうとう文化祭当日がやってきた。
ちなみに母と相談した結果クラスのオークションは、家に眠っていたお客様用のティーカップを持っていくことになった。
まぁ、流石に本物のお兄ちゃんの愛用品を持っていくわけにはいかないよね、となり、お付き合いで購入して使う機会が高級なティーカップをお兄ちゃんの愛用品ということにしようということになったのだった。
事情を説明してお兄ちゃんにはそのカップを持ってもらったので、全くお兄ちゃんに関係ない品物ではないし、お兄ちゃんが愛飲している紅茶のティーバッグも付けるので許してほしい。
そんな裏事情を知らないクラスメイト達は、流石湊様、こんな高級なティカップ使っているんだぁって感心していたけれど、流石に普段使ってるのはそんなに高級な物じゃないと思われる。というか、そんなに高級じゃないと言ってほしい。今後茶碗洗えなくなるから。
そんなことを思いつつ、当日のオークションの運営もお兄ちゃんの愛用品を捧げたことで免除になったため、文化祭は二日間とも美術部の受付係がメインだ。
正直な話、美術部員が描いた絵を見に来る人なんて、美術部の前を偶然通った上に興味を持った人か、美術部員の知り合いくらいなので、受付係は私と美琴と先生さえいれば十分だったので、基本的には私と美琴のローテーションで美術部を留守番することになった。
他の部員の人たちは放課後のクラス準備を免除してもらうかわりに、文化祭当日のシフトに入る人が多いらしく、大半の時間の店番を引き受けると他の部員の人たちから大層感謝された。
お兄ちゃんの人気に感謝しつつ、お兄ちゃんに思いを馳せる。
文化祭の運営も体育祭と同様で、生徒会が主導で行う上に、生徒会選挙の方も投票の管理とか、選挙活動に違反がないかとかに気を配らないといけないため、物凄く忙しくなりそう、とのことだった。
美術部の出展にも顔を出している暇がないかもしれないと遠い目をしているお兄ちゃんには申し訳なかったけれど、どうしてもお兄ちゃんにこの文化祭のために描き上げた作品を見てほしかった。
後夜祭ならなんとか時間が取れそう、とのことで、美術部の顧問の先生にも許可を取り、後夜祭に美術室で待ち合わせをすることにした。
後夜祭は生徒会の皆さん一年間お疲れさまでしたということで、生徒会ではなく先生方が主導で行ってくれるらしい。
とはいえ、今期の主役の生徒会長様が後夜祭にすぐに来てくれるとは思っていなかったのに。
「ごめん、遅くなった」
後夜祭のアナウンスが放送されて、グラウンドのキャンプファイヤーの火が灯って少し経ったくらい、およそ20分くらいだろうか、それくらいの時間でお兄ちゃんが美術室に来たので、私は驚いてしまった。




