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こんなにすごい奴がこの世にいるなんて、聞いてない2/2(side 真咲)

でも、愛想がよくなって猫を被るのが上手くなっても、湊は本当にこの世界がつまらなさそうだった。


なんとかこの世界の面白さを伝えたいと思っていたけれど、湊は中学で生徒会長をやらされたりといろいろ忙しそうで、俺も剣道部に入って忙しくて、いや、それ以前の問題で俺は湊に世界の面白さを伝えることは出来ないんだと分っていた。


だから、高校生になって唯花ちゃんが可愛くて仕方がないんだ、と心底楽しそうに言う湊を見て、心底ほっとした。


やっとこの世界を楽しいと思ってくれたのだな、と。


だから、俺はもっといろいろなことを知ってほしいと思っている。


たとえば、友達とする部活動の楽しさとか。


そして剣道部の団体戦のインターハイで一緒に戦いたいと思っている。


俺の夢だから。


インターハイで優勝するのが。


流石に個人戦で俺が優勝出来るとは思ってない。けれど、けれど湊が参加してくれて一勝が確実なものとなれば、この高校もともと剣道割と強いし、俺もそれなりに出来るし、団体戦なら良い作戦と湊さえいればインターハイで優勝できるのではないか、と本気でそう思っている。



「あ、返信来た。っ!!!!」


思わず携帯を落としそうな湊に、俺は焦った。なんて返事が来たんだ?そんなに悪い返事が来たのか?


「メール、なんて?」


ごくりと、唾を飲んで湊の言葉を待つ。


「袴姿格好いいですね。剣道、良いと思います。是非、頑張ってください。応援してます!だって!!!!どうしよう。永久に保存しとかなきゃ。とりあえずスクリーンショットで良いかな?あとパソコンにも送っておこう。あとはどうしたらいいんだろう。そうだ、部活、そう。頑張ってくださいと応援してますって言われた部活がんばらなきゃ。俺嫌だけど本気で頑張るよ!!!」


ナイス返事!最高だ。唯花ちゃん、最高だ。


「おう!俺と一緒に天下を取ろうぜ!」


最高の青春が送りたい。


「天下はとらなくていいから早く剣道上手くなりたい。で、今度は声でお兄ちゃんすごいって褒められたい」


そう言って本気でため息を吐いた湊の姿はすごく憂いていて、演技とかそういうのではなく、本当に唯花ちゃんに出会ってから変わったなぁと思った。


でも、それが凄く嬉しかった。その想いは行き過ぎているよ、と正直思うけれど、世界がつまらないと言っていた、思っていた頃の湊より、ずっと良いと、そう思う。


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