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こんなデートになるなんて聞いてない!3/3

歴史を感じさせる佇まいのそのカフェには、お兄ちゃんがしっかり事前に予約をしてくれていたため、すんなり入ることができた。


「何を食べようか」


メニューを見てすごく悩んだけれど、やっぱりここは折角の記念にと展示会特別メニューを選ぶことにした。


「雰囲気すっごくいいお店だね。絵に描きたいくらい」


でもこの趣のある雰囲気難しいんだろうなぁ。文化祭の作品のモチーフにしても面白いかもしれない。


「そういえば、そろそろ文理選択するために進路調査票提出する時期だと思うんだけど。唯花は進路なんて書いたか聞いてもいい?」


文化祭に想いを馳せていると、唐突にお兄ちゃんに現実に戻された。


し、進路かぁ。


「そ、そういうお兄ちゃんは?理数クラスだよね?」


「うん。こないだまでは寿司職人になるか医者になるか、色々迷ってたんだ。けど、やっぱり父親の後を継ぐのが一番自分の守りたいものを守ることができるってことに気がついた」


んん?医者はともかく寿司職人を志していた時期が??


「それで、唯花の話に戻るんだけど」


戻ってしまった。うまく話を逸らせたと思っていたけれど、誤魔化しきれてなかった件について。


「文系で……行けそうな大学にそれなりに進学できれば…と」  


考えておりますが。これくらいふわふわとした進路しか思い浮かばないないから、あまり聞いてほしくなかった。


「それはつまり、美大の中で行ける学校に行くってこと?」


「美大というより、普通に文系の学科の大学…かな」


少なくとも今は、理数系よりも文系の方に進みたいことははっきりとしている。その先の明確なその進路を今は持ってはいないけれど、今後学年が進み、模試を受けていく中でなんとなくわかっていくのではないだろうか。


「……美大には行かないの?」


何度もお兄ちゃんに確認されて、確信を持った。


お兄ちゃんも私が美大に行きたいと思ってるのか。


「うん。私将来公務員になろうと思ってるから」


そこまで美大に行きたいと思われていているのなら、もう正直に自分の進路を言うしかないと思った。


「公務員・・・・・・?」


そう。公務員。


小さいころは、1人で精一杯働いているお母さんを見て、高校を卒業したら公務員になってお母さんを助けるんだって思っていた。


今はもう、私の助けなんて必要なくなってしまったけれど。


それでも私の夢は変わらない。


公務員になって、ひとりでも生きていける力を付ける。


それが、今の私の夢だ。

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