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付き合うことになるなんて聞いてない!6/7

「ちょっと…よく分からないから…その、部屋で考えてくる」


ふらふらとリビングを離れて、自室へ戻る。そして美琴に電話しようと思ったけれど、繋がらなかった。


当たり前だ。授業中なのだから。


授業が終われば折り返し電話がかかってくるだろうと思い、スマホをベッドの上に投げ出してベッドに寝転んだ。


「唯花?電話してくるなんて、どうしたの?」


ぐるぐると思考の海に潜り込んでいたら、休み時間になった美琴から電話が掛かってきた。


「美琴は知ってたんでしょ・・・・・・」


「え、ちょっと待って、どの件?」


どの件ってなんだ。


「そんなに迷うほど複数あるというの?」


他にも私が知らない出来事があるというのか。


「ないです。あれでしょ?唯花と湊さんが付き合ってる件でしょ」


「……いつから知ってたの」


そして、どうしてそれを言ってくれなかったの。


「唯花が入院して3日目くらいだったと思うけど。湊さんから口止めされてたんだよね。自分の口で説明するから、唯花には言わないでほしいって」


入院して3日目って結構前だ。つまり、今はもう学校での噂は大分下火になっているってことだろう。


まぁ、私が登校したら噂もまた燃え上がるのかもしれないけれど。


「・・・・・・美琴はその時になんで止めてくれなかったの?」


ずっと考えていた。私を守るにしても他にも方法があったのではないかと。


「・・・・・・唯花がね、一緒の高校に行くって決めてくれた時、すごく嬉しかった。湊さんと同じ高校になると、大変な思いをするだろうって思ったけど、それ以上に唯花と同じ高校に行きたかったから。だからその時に絶対に唯花を守るって決めたの」


「うん。美琴のおかげで高校生活もすごく楽しくて、すごく心強いよ」


それが美琴の負担になっているとしたら大変申し訳ないけれど。


「けど、あたしは守り切れなかった」


「でもそれは・・・・・・あんなに美琴に1人で行動するなって言われてたのに、1人で行動した私が悪かったの」


入院中ずっと後悔していた。どうしてあの時1人で行動してしまったのだろうと。


「ううん。唯花も、あたしも悪くないわ。悪い人は、嫌がらせをしてきた人達だもの」


そう、その通りだ。


「だったら今まで通りでいいじゃん・・・・・・。美琴が嫌じゃなかったら、それで・・・・・・」


「嫌になったとか、そういうわけじゃないの。ただ、あたしも湊さんも、もう二度と床に倒れている唯花を見たくないだけ」


そう深刻な声で言われてしまうと、それ以上何も言えなくなってしまった。


いや、いや。負けるな私。他にも問題点はあるだろう。


「でもさ、義理とはいえ兄妹が付き合うって世間一般的にも問題あると思うし・・・・・・そもそもお互いに彼女彼氏を作ることが出来なくなるじゃん」


「唯花に彼氏を作る気があったことには驚きね」


肩を竦めている美琴が目に浮かぶようだ。


「いや、私はないけど、お兄ちゃんにはあるかもしれないじゃん」


お兄ちゃんには彼女がいたという実績もあるわけだし。


「あれ?湊さんから好きって言われなかったの?」


あまりにもしれっと美琴が言ったため、「言われたけど……」と平然と答えようとしてしまった。


「え、ちょっと待って!?美琴も知ってるの???」


相談されたの?てかどこからどこまで知ってるの?


「まぁ、もうすぐ授業始まりそうだし、その答えが分かる動画を送ってあげるからそれを見て悶えておきなさい」


質問攻めされそうな雰囲気を察知したのか、美琴はそう言うと通話を切ってしまった。


「悶えておきなさいって・・・・・・怖すぎる」


思わずそう呟いた私に、ピコーンという通知とともに動画が届いた。

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