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付き合うことになるなんて聞いてない!2/7

朝の七時に起きて、着替えて、ベッドの上でホテルのような朝食を食べる。


朝食を食べ終わった後は、もうひと眠りするか、美琴が見繕ってくれた本を読むか、どうするかを悩んでいると、病室のドアが開いた。


看護師さんが来たのかと思って顔を向けると、そこにいたのはお兄ちゃんだった。


「おはよう、唯花。体調はどう?」


制服姿で手には大きな花束を持っているお兄ちゃんはすごく爽やかなオーラを発していた。


朝は眠気が残っているからかわからないけれど、お兄ちゃんのオーラに対する耐性がいつも半減しているような気がする。眩しい。眩しすぎるけど、眩しさに目が眩んでいる場合ではない。


「お兄ちゃん!?学校大丈夫なの!?遅刻するんじゃない?」


時刻は8時を少しすぎたところだった。お母さんが再婚する前に働いていた職場だったから、この病院の場所は知っている。学校と病院の距離を考えると、寄っている時間はないと思った。


「大丈夫だよ。授業は9時からだし」


そんな私の心境も気にせずに、お兄ちゃんは花束を部屋の奥にあるテーブルの上に置いた。


授業が9時からっていうことは、朝礼に出席する気はないらしい。


「お兄ちゃん。そんな無理に来なくても、私は大丈夫だよ」


前々から思っていたけれど、お兄ちゃんは心配性すぎる。


本当の兄妹だったら夕方に少し顔を見せるくらいでも仲が良いほうなのではないだろうか。


「無理じゃなくて、唯花が心配なだけ」


お兄ちゃんがいつの間にか奥のテーブルからベッドの方に来ていたて、お兄ちゃんの顔が近くにあって驚いた。


「頬にまで痣が出来ているし・・・・・・。痛みはないの?大丈夫?」


確かに頬にも痣はできていたけれど、お兄ちゃんの心配そうな表情を見るといたたまれない。


もっと私が気を付けていればよかったのだ。


「大丈夫だから、急がないと授業にも遅刻しちゃうよ」


本当のところは、朝は痛み止めが切れたせいで朝早くに痛くて目が覚めたのだけれど、それを言ったらお兄ちゃんが学校に行かないとか言い出しそうだったため、秘密にしておく。


朝食後に飲んだ痛み止めもそろそろ効いてくるだろう。


「・・・・・・分かった」


渋々重い腰を上げたお兄ちゃんは学校へ向かうのかと思ったら、花束を持ち上げたので花を生けるらしい。


というか、そんなに大きな花束、絵画くらいでしか見たことないんですけど。


「何か足りないものとかない?学校からの帰りに買ってくるよ」


花を活けながらお兄ちゃんはそういうけれど、私はこの大きな花束で胸が一杯であった。


「ありがとう。でも大丈夫だと思う」


というか、何か頼んだらすごいものが届きそうで怖い。




ちなみに湊は本気で病室に泊まろうと思ってましたが、瀬川さんに全力で止められたのでやめました。

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