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こんなことになるなんて聞いてなかったなんて言わないでください 2/4 side湊

平岡と話をするために、教室の前で授業が終わるのをじっと待つ。


チャイムが鳴って挨拶が終わったと同時に、教室のドアを開いて、平岡を呼び出した。


「え、え、湊さんが俺に何の用っすか。てか、妹さんの所に行かなくてもいいんですか」


困惑気味にやってきた平岡に、ついてくるように言い放ち、生徒会室へ向かった。


「どこ行くんですかー」


という感じで、平岡は不満はあるようだったが、それでも大人しくついてきている様子だったので、返事はしないで放っておく。


「さて。今回呼び出した件について、何か心当たりがあったりするか?」


初めて入ったらしい生徒会室を物珍しそうに眺めている平岡は、この状況を理解していないのではないだろうか。


「は?急に何なんですか。さっぱり意味わかんないんすけど」


「これ送ったの、お前だろ。これでも知らないふりをする気か?」


そう言ってさっきの証拠の写真をスマホで見せる。


「え、これ、俺送ってないっすよ。は?こんなの知らないし。俺じゃないだれかが、俺の名前を騙って自分のアカウントの写真と名前を変えて送ったんじゃないんすか」


確かに、その可能性もなくもないけど。


「じゃあ先月の『バスケ部員に昼休みに集まるよう放送をしてくれ』っていう前のラインも、お前じゃないいっていうのか?」


この部分のラインを見た時に、このアカウントは本当に平岡のものであるんじゃないか、と思った。


もし違うならこのアカウントはバスケ部の誰かが平岡に成りすましていた可能性が出てくるわけだが。


「そ、それは確かに俺が送ったっすけど……。でも今回のは俺が送ったわけじゃないっす。ほんとっす」


そう必死で言う平岡の表情や様子に、嘘は無いように見える。あくまで見えるだけだが。


「それが本当なら、証拠を見せてみろよ」


「は?っていうか湊さんいつもとキャラ違くないですか……。いや、なんでもないっす」


そりゃあ唯花を傷つけた犯人かもしれない奴に振りまく愛想はないからな。


「えっと、なら携帯。携帯見せるっすよ」


スマホの中に送信履歴が残っていたら平岡の犯人が確定すると思うのだけれども、そんなことを平岡は思っていないのか、いろんなところのポケットを探って、スマホを探しているようだった。


「ない。ないっすよ。っていうか、俺学校で携帯あんまり持ち歩かないから……。教室に戻って、取ってくるっす」


そう言って平岡はこちらが呼び止める間もなく、生徒会室を走り去ってしまった。


逃げる口実じゃないだろうな、と思ってしばらく待っていると、さすがバスケ部。それなりに早く戻ってきた。


「はぁ。はぁ。えっと、ラインで、放送部のトークの画面見せたらいいんっすよね。あれ。トークの所にない……?」


慌てる平岡のスマホの画面を俺も確認したけれど、確かにあるはずのそれはどこにも存在しなかった。


「いや、ほんとに俺が消したわけじゃないっす!!!前に放送部にラインしたことがあるのはほんとっすよ!!っていうか、そもそも俺がそのラインを送ったからって何なんすか」


もしここまでの反応がすべて芝居だったら、平岡は将来俳優を目指した方が良い。


「唯花は、この呼び出しがあったからあの時階段を下りてたんだ。でも、その呼び出しは罠だった。犯人が、唯花を階段で待ち構えるための。だから、このラインを送った奴が、犯人で」


「それが俺っていうわけっすか……」


なんの疑いを掛けられているのかを知った平岡はみるみるうちに青ざめていく。


その通り。でも、そうじゃない。


そもそも俺が犯人の立場だったら、自分のアカウントでライン送らないし。


でもその思考を読んだうえで、自分を犯人だと思わせないために平岡が送った可能性もあると思い問い詰めてみたが、今回話をして、平岡は犯人ではないだろうと思った。


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