僕
人生は退屈だ。
レールから外れれば振り落とされる。
レールから外れなくても先が見えてしまってつまらない。
どう転んでもそうとしか思えない。
日常の大切さを僕はわかっているはずなのに。
大切なモノをを疎ましく思う、矛盾。
・・・そもそも僕の価値とは何だ?
仕事?
それは違う。どこまで優秀な歯車であっても所詮代替可能な部品でしかない。
家族?
それも違う。過去を含め評価する彼らはその優しさゆえ尺度が歪んでしまう。
友達?
それもどうなのだろう。虫けらのような自分を本当の意味で好きになる人間がいるのだろうか。
結局僕は何一つ誇れるもののない弱虫だ。
日常を享受することもできず、突き放す勇気もない。
日常という点の集合である人生。
それを僕は受け入れることができない。
人間社会という枠に属せない宙ぶらりんの僕。
・・・ああ、退屈なのは人生ではなく僕の方だった。
僕の中には情熱も好きも嫌いも、何もなかった。
レールをなぞれもしないのに、口先だけは一人前。
なんという畜生。
空虚という言葉には当てはまらない。
虚ろであることには殻や枠が必要だ。
僕はそんなものすら持っていないのだから。
ひとつ持っているものとしたら、得体のしれない恐怖だけ。
それは蛇の舌のごとく、舐め回し、自分にまとわりつく。
茨のように、僕を傷つける。
蝕み、腐らせていく。
それでも僕は生きるのだろう。
終わらせる勇気すら持たない僕にはそれがお似合いだ。
誇りもなく這いずり回り、泥をすすり、常に鬱屈としながら生きる。
何も持たない自分を恥じながら。
僕の退屈さを人生というものに押し付けながら。
空の青さや風の声すらも拒みながら。
あらゆるものを否定しながら。
何かもわからない恐怖に怯えて、今日も生きていく。
かつての自分を投影したような作品です。
煮え切らないのに進む勇気すらない。
そんな昔の自分を。
結局なんだかよくわからない作品になりました(笑)