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序 プロローグ

機械化少女~宇宙人観察日記~


プロローグ 



―――私は何でそんなところにいたんだろう……。あれは……私だ……。



教室で居眠りしていたミカは起動した。

彼女の机の上に一匹のハムスターが寝ていることにクラスの女子が気づくことに対して時間はかからなかった。「かわいい」「見せて見せて!」と、女子高生たちはどんどん寄ってくる。

 それが起動したきっかけになった。

彼女に残された人間としての感覚。

ハムスターは撫でられて気持ち良さそうにしている。

 さやかはチラッと様子を見た後、興味が無かったので通り過ぎた。彼女はそうしたことに興味がある方ではないからだ。

しばらくしてハムスターを見ていた女子の悲鳴が聞こえた。


「うそ……目が四つだ!」


 その一言のあとミカの周囲がどよめき、ミカはあわててハムスターを抱えて教室から出ていった。

 さやかはその一言を聞き逃さなかった。

 急いで後をつけた。


 ミカはトイレの鏡の前にハムスターのような小動物をおいた。

「ふぅ危ない。危ない。人間の手がこんなに心地いいとは思わなかった。」

 彼女はハムスターの方が言いそうなセリフをいいつつ気持ちよさそうにハムスターを撫でまわしている。

 ハムスターは心地良さそうに寝ていた。

 一見するとミカは普通の人間にしか見えない。

身長はやや高めで若干ふくよかで柔らかな雰囲気だ。

 美しい黒髪を肩の位置でツインテールにしたおさげの可愛らしい古風な娘だ。

ミカが変なハムスターを飼っていることをさやかが知ったのは今日が初めてだ。

「かわいいね! それ!」

さやかが後ろから声をかけるとびっくりしたようにミカは振り返った。


 ミカの口からハムスターの後ろ足がじたばたとしていた。


 しばらくの沈黙の後、ミカののどをハムスターが通過するのをさやかは黙って見送った。

「それってあなたの……えさ?」

「えさじゃないよ! ていうかつっこむところそこ?」

 さやかが言い終わるのとほぼ同時にミカは叫ぶように言った。ミカはまさにハムスターみたいな小動物の如く焦りまくっていた。

「食べちゃった……よね?」

「う…。」

 さやかはハムスターがのどを通過するのを見ていた。

「気持ち悪いとか悲鳴をあげたりとかそういうのが普通じゃない?」

「まぁ気持ち悪くはない。」

「ホントに?」

「そうだよ。普通じゃないけど。で?」

「で?」

 ミカは首を傾げてとぼけようとした。

「で? 何でハムスターを食べたの?」

「それは……言えないです。」

 ミカは正体を隠したいようだがさやかには大体のことは分かったし驚かない。


 ―――たぶん宇宙人だ。


 その発想が普通はおかしいことはさやか本人にも十分分かっていた。

 しかし、どうしても不思議なことや超自然現象などは全て宇宙人の仕業だと思う癖がある。

「ハムスターがもしかしてあなたの本体なんじゃ……」

「え? 私がこの女の子の体を改造してモビルスーツにしているわけがないじゃないですか! 」

 ―――あぁ……言ってることと本当の事が逆のパターンだ。そうなんだ。この娘は宇宙人に改造されちゃったんだ。話したことは無いけれど確かに前と雰囲気が違うような気がしてきた。

 さやかはそう思うと何だか可哀想な気がした。 

「何で? 私のことを気持ち悪いと思わなかったの?」

 自分のことを気持ち悪いと思われることが嫌らしく、それを気にしているらしい。

「あぁ……それなら私はあれだから。もっと気持ち悪いものばかりを想像したりしているから。」

 さやかは自身のネタ帳をミカに渡した。

 さやかが自信を持って面白いと思っている自作の小説……。


「嘘だぁぁぁぁぁ!」


 ミカはさやかのネタ帳を投げ捨てて若干涙目になりながらそこから駆けていった。

 さやかはネタ張を拾い上げて汚れを払う。

 そう言われるのはいつもの事だった。


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