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越後の龍  作者: 蒲生潤
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黒滝城攻城戦

私は未熟なので、この作品の出来ばえが自分でもよくわかりません。もし、この作品を読んで下さった心優しい方がいましたら、是非ご評価をお願いします。謙虚な心で受け止め、今後の参考にしていきたいです。

 黒滝城の前に、馬上の若者が腕を組み城を睨んでいる。歳はまだ十六だが、胸板は盛り上がり、体は熊の様に大きく、誠に雄雄しい武者ぶりである。

 若者の名は「長尾景虎」といった。後の軍神上杉謙信である。景虎は幼い頃から力が異常なほど強く、4つ上の子と相撲をとっても負ける事はなかった。喧嘩も滅法強く、喧嘩においては無敗の戦歴を誇り、かなりの乱暴者であった。そのため父偽景が病死したあと、林泉寺に預けられ、天室光育の教えを受けた。林泉寺に入ってからは、虎千代(景虎の幼名)は嘘の様に変わっていった。以前の様な荒々しさは消え、学問に励むようになった。天室光育は虎千代に対して感嘆した。虎千代は綿が水を吸い込むかの様に学問を吸収していくのである。

 虎千代は14歳の時に元服し、長尾景虎と改めた。天文13年(1543)、景虎が15歳の時の初陣では華々しい活躍をみせた。

 長尾氏に黒田秀忠が謀反したため、景虎は上杉定実に黒田秀忠を病弱な兄にかわって討伐を命じられ、景虎は総大将として黒滝城を攻めていた。


 景虎は16歳といえど大人に勝る威を兼ね備えている。景虎は病弱な兄晴景と違って大将にふさわしい。見事に軍を統率し、兵達は死をいとまない屈強の兵と化していた。


「ものども、突撃じゃあ!」


 景虎は雄叫びをあげて敵陣に突撃した。兵達も景虎の後に続く。己の武に自信のある者は、功名心に燃えて景虎に向けて槍を突き進める。だが、景虎の槍に払いのけられ、もう一度槍を振るおうとした時にはもう遅い。景虎の槍が敵の甲冑を貫いていた。何人もの男が景虎の槍の前になぎ倒され、敵の功名心は景虎によって跡形も無い程に打ち砕かれた。敵は功名心が破壊されたかわりに、恐怖感というものが生まれていた。無理も無い。景虎の鬼神の如き働きを見て、恐れを抱くのは当然といってよかった。


「狙うは裏切り者の黒田秀忠の首のみじゃあ。者共我につづけえい!」

「おおう!」


 味方の士気は凄まじい程に高まっている。景虎が居る限り戦に負ける事は無いように兵士達には思えた。景虎は無人の境を走っている様だった。敵は景虎を見るなり逃げ出すので、景虎が槍を振るわずとも道ができた。景虎の突撃により敵陣は混乱し、敵は収拾のつかない状態に陥った。

 謀反した黒田秀忠は、景虎の獅子奮迅の働きに肝を潰し、退却を始めた。


「景虎様、拙者があの黒田秀忠を生け捕りにしてまいりましょう」


 自信をおびた太い声で景虎にそう申しでたのは、柿崎景家という屈強の男だった。この男の名は後に天下に轟き、謙信麾下に並ぶもののない勇将と称えられた天下無双の武士もののふである。景家は余程自分の力に自信があるらしく、退却し始めた敵へ単騎で駆けていった。敵の雑兵の槍が手柄をたてんと景家まっしぐらに突っ走ってきた。しかし、その槍が景家に届く事はなく、槍は活力を失い、息絶えた。

「我こそは柿崎和泉守景家なり。雑兵共には用はない。命が惜しければ退くがよい!」

 雑兵共の眼には単騎で駆ける景家の勇姿は恐ろしい鬼の様に映った。景家に槍をかすらせた者すらいないのである。景家は誰も寄せ付けず、黒田秀忠の本陣めがけて猪突猛進した。黒田秀忠は腕利きの親衛隊(精鋭の護衛部隊)を数十人雇っていたが、親衛隊は景家に適うはずもなく、一突きにして倒れていった。


「我が武、目に焼きつけよ」


 この景家という一人の天下無類の豪傑により、敵の戦意は打ち砕かれた。大将たる者はいかなる時にも動揺してはならない。大将が動揺すると周りの者が動揺してしまい、士気の低下を招く。黒田秀忠は凡将であったため、顔を真っ青にし、動揺しているのは誰がみても明らかであった。


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