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プロローグ
『本当は気づいていたんだろ?』
しばらくの沈黙の後、彼は口を開いた。その言葉に私はこう返す。
『ええ。この世にハッピーエンドなんてあるわけないわ』
彼は微かに微笑み、もう一度私に問う。
『本当は知っていたんだろう?』
『ええ。だって永遠に幸せが続くことなんてあるわけないんだから』
そして最後の問い。何度この問いを聞いた事だろう。何度・・・。
『本当はわかっていたんだろう?』
『ええ。これは夢なんでしょ?』
信じたくなかっただけ。
覚めたくなかっただけ。
でもいつかは目覚めの時が来る。
それは世界の破局。
それは世界の誕生。
全てはめぐる。
始まりが終わり、
終わりが始まる。
そう。夢から覚めた、その時に。