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黄龍の診療所 ― 世界を診る気導士、龍界で開業中  作者: 転々丸
龍界の使者たち

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9/15

第9話:龍王の使いイグナスです。

前回、龍脈書院からスカウト書状が届きましたが、読まずに本棚の隙間へイン!

それを見かねた龍王が使いを派遣。

新しい診療棟にも、すっかり人が集まるようになったころ

診療所は午前中から混み合っていた。


「昨日の灸、またお願いします!」

「肩の“ゴリッ”て取れたやつ、あれもう一回!」

「友達が“刺してもらったら寝れた”って言ってて……」


魔法師たちが列を成し、受付のリリナはほぼ目を回していた。


そんな中──


「……来ました」


ハチが、ぴくりと耳を立てた。


「空から来た。風が違う」


ルカも受付カウンターから身を乗り出す。


「え、何か来たんですか? ドラゴン!?」


「ちいさい。“本家筋”の匂いがする」


そのとき──


 **ひゅううぅん……** 


空から舞い降りる青い影。


小さな龍──イグナスが、診療所に着地した。


「お初にお目にかかります。

 わたくし、龍王さまの使い“イグナス”と申します」

挿絵(By みてみん)


ナギは、鍼を拭きながら振り返った。


「こんにちは。診察ですか?」


「いえ、違います。

あなた、龍王さまの使命──スルーされましたよね?」


「……え、何で知ってるの」


「知ってますよ!? ちゃんと書状送ったのに、本棚の隙間にイン!」


「読んだら面倒そうだったから……」


「ですよねぇぇぇぇ!!??」


ルカがひそひそ声で横から。


「……ナギさん、使命スルーってレアなんじゃ……」


「一応、転生してきたらしいから、

選ばれし者ってやつだと思うけどね」


ハチがぽつりと口を開いた。


「選ばれたけど、選ばれる前から“予定が詰まってた”タイプ」


「正確には、神殿巡りより、

今日の寝違え患者の方が緊急性高いって判断したのよ」


イグナスは深くため息をついた。


「……一応確認しますけど、神殿には……行かれない?」


「今のところ、予定はありません」


「使命は……?」


「知らないままにしておきたい」


「っっっ!!!」


ナギは棚から茶葉を取り出し、急須にお湯を注ぐ。


「それより、せっかく来たんだからお茶でも飲んでいく?

 湿度が高い日は、体に気がたまりやすいのよ。空飛ぶならなおさら」


「…………」


イグナスはその場でぐったりと座り込み、小さく言った。


「……整えられてしまいそうで、悔しい……

 ここはまるで、“本家の中心”みたいだ」


挿絵(By みてみん)

         ↑診療所にいると、

         癒されてしまってこうなります。


ご覧いただきありがとうございますm(_ _)m

毎週火曜日と金曜日20時に開院しております☆



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