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黄龍の診療所 ― 世界を診る気導士、龍界で開業中  作者: 転々丸
龍界の使者たち

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8/15

第8話:龍脈書院からのスカウト状が来た件

神殿巡り? 龍王の使命? いやいや、こっちは今日も五十肩との闘いなんで。

ナギ、書状スルーで現場に専念します。


新しい診療棟で迎えた、ある日の午前ー

ナギは鍼の煮沸を終えて湯気の中で伸びをしていた。

「ふぅ……今日は“肩井”が大人気だったわね」


窓際では、ハチが湯気に顔をしかめている。

「湿気、嫌い。毛がしける」


そこへ、受付のリリナがそっと扉を開けて入ってきた。


「ナギ先生……あの……ちょっと、お届け物が」


「ん?」


差し出されたのは、**封蝋のついた豪華な書状**。

龍の紋章が、ど真ん中に押されている。


その紋章は、なぜかナギのいる方向を向いているように見えた。


「……なんか重いオーラの手紙きたけど?」


「“龍脈書院”からです。ギルドの受付に正式に届きまして……」


ルカがすぐ反応した。


「りゅ、龍脈書院!? って、確か……一番すごい魔法機関……!」


「“使命を帯びし者へ”って書いてました!

神殿巡りの依頼……とか……」

「ふぅん」


ナギは、まったく興味なさそうに

その封書を本棚のスキマに差し込んだ。


挿絵(By みてみん)


「えっ!? 今の、えっ!?」


「いやほら、今週も患者さんいっぱいでしょ?

神殿? 巡る時間ないのよ。あと五十肩の人、来るから」


リリナが心配そうに覗き込む。

「で、でも、“王命に等しき使命”とか

書かれてたらどうしますか……?」


「読んでないから知らないし」

「むしろ読まないから平和なのよ」


ハチが横からひとこと。


「使命スルー……やるわね」


「だって、わたし“気導士”よ?

神殿とかより、目の前の気の流れ整えるほうが性に合ってるの」


ルカが神妙な顔でうなずく。


「……ナギさん、かっこいいっす」


「ありがとう。でも、かっこつける暇あったら

ツボ押し練習して?」


「はいっ!」


こうして、異世界における神殿スルー第一号の気導士が誕生した。


まだ誰も知らなかったが、この日を境に──

龍王サイドが「ちょっと様子を見に行こう」

と思い始めたのだった。


ご覧頂きありがとうございますm(_ _)m

毎週火曜日と金曜日20時に開院しております☆

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