影なる敵
ノブリとコブリの疲れを見て城の中の影がささやきます。
『…やっとこの刻が来ました…。貴方達が「私以上の存在」と相対し、すべてを出し尽くした刻…この刻が…』
影の中から二つのモヤモヤとした姿がうごめきます。
『私達の名前はまだありません。貴方ともう一人の仲間を倒し、新しい名前を私達は名乗るのです…』
『フフフ…もう動けないのでしょう…。この一太刀すらかわせまい…』
一筋の刃がノブリの方に向き、ノブリは確かに身体を斬り込まれました…
「ノブリ…もう私達は…」
「コブリ、まだだ…」
敵の刃に斬り刻まれるノブリの背中…。敵は更に笑い続けます。
『フハハハハ』
『死になさい。貴方達の名前を頂くわ!』
「待ちなさい!」
そこにはコブリの友人のヨシテルとミチヨが居たのです。コブリはノブリの寝た後にヨシテルにいつも手紙を書いていました。
コブリは本当の疲れからドサッと倒れてしまいます。
ノブリも目をつむり疲れを隠せません。
ヨシテルは続けます。
「貴方達両名はこのヨシテルとミチヨが倒して見せます!!」
有無をいわさない刃の走りに敵の奥の手は封じられていきます。
ミチヨは、
「まったく…」
と、少し笑いながら敵を見据えて魔法を唱えていくのでした。
呪縛法を唱えられ始め、敵は焦り窮していきます。
『こんなはずじゃなーい!!』
と、敵の断末魔に四人はあきれ、めでたく捕まえる事に成功したのです。
ヨシテルとミチヨは敵の倒れた後にも余念なく、手配していた仲間を城の中に導き、続々と隠れていた敵達を捕まえ、盗まれた郷土品等を無事回収出来たのです。
王宮のヨシテルとミチヨの活躍に街の人達は喜びの声を挙げるのでした。