エビン城と山チュー
「これかよエビン城って。意外と近いな。ちょっと戦う前に腹ごしらえしよう」
「うーし、エネルギー充填といこう」
…ムシャムシャバリバリ。
「おにぎり旨ぇなコブリ」
「美味しいねぇノブリ」
二人が城の近くにある切り株で昼食を食べているといい匂いが辺りに漂います。水筒に入れていたコーンスープをコップに注ぐとフワァーと美味しいコーンスープの匂いが漂っていきます。
「チュー!!」
「あっ山チュー!」
ゴクン。
「ムリムリ、食べきろうぜコブリ」
ムシャムシャズズー、ゴクン!
「プハーッ」
「お前達、よくもこんな所で美味しそうな昼食を食べやがったな!!」
「山チュー!そんな事よりもミレンつぼを割りにくるのやめろよな!」
「今日も許さないからな!ギルドにも連絡したし、又やっつけてやるよな!」
「何をー!俺を倒してもエビン城の城主様、ミラド大王はミレンつぼでもうけるんだ!」
「ウーン…。さては山チュー、お前達ミレンつぼを全部割らずに横流ししているなぁ!」
「よし!山チューお仕置き!無駄話は嫌い!」
「ウルセぇ。新しい装備を手に入れた俺は前より強いんだチュー。のしてやるチュー!!」
「言っとくけど俺達、前は呪文とか使ってないからな!」
「…ウルセぇ!!問題無用ッチュ!!」
ノブリが山チューの初手を片手で防いでコブリが呪文を唱えます。
ノブリとコブリの連携で山チューは防戦一方です。城の前で闘いが行われているので城の中から誰かがノブリコブリ達の様子を覗いています。
新しい装備の山チューはそれなりに手強かったみたいですが、呪文と攻撃をしのぎきれず山チューはもう降参です。
「ギ、ギブアップだチュー…」
「ふんっ!悪さばっかりして!ハンターの指名書、貼っといてやる」
「よし、さすがコブリ!本気だしたらわけないのな!」
「早く、そのミラド大王ってのも倒しちゃおう!」
「おう!!」
山チューを縄でしばって、あっというまにエビン城の鍵を山チューから取り上げたノブリとコブリ。ノブリは言います。
「コブリー。山チューとの闘いの最中、城から覗いている奴がおったんよ。結構強いっぽいから用心な!」
「ウゾ!?最悪じゃん!!」
「ひとまずヤークドックに…伝書鳩さんを飛ばして…と」
以下 ギルド様へ
山チュー捕まえた
エビン城の前の切り株で捕獲
更なる敵ミラド大王も討伐予定
と…伝書鳩さんにお願いしノブリとコブリはエビン城に鍵を使って入っていきます。後ろ手に縛られた山チューは
「チキショー…」
と、ポツリとこぼして二人が城に入るのを眺めるしかありませんでした。