そら音と真実
(ピンポーン)チャイムの音がして祖母が小走りで玄関へ向かった
(ガラガラ)木製の重い引き戸の玄関を開けるとともに
「華夜 迎えに来たよ お母さんありがとう」という声が聞こえた
「あら 帆名嘉お帰り 華夜ちゃんなら奥の部屋にいるわよ」
祖母がママを私のところに連れてきた
「ママお帰り」私はさっきまでおばあちゃんとしていたゲームを中断させ
振り返った
「ただいま」母は安心したような笑みを浮かべていた
「さぁ帰るよ 華夜」 「あら帆名嘉 夕食でも食べていったら?」
「お母さんに悪いからいいよ でもありがとう」 「あらそう?」
そんな母と祖母の話声を耳に私は黙々と帰る準備をしていた
「行くよ」そうママに言われたときには私は準備ができていた
赤いランボルギーニに乗り込んだとき母は
「明日ついて来てもらいたいところがあるの」と言った
「わかった ついてく」そんな二言で会話はおわった
~次の日~
「華夜 行く準備して」いつものように螺旋階段の下から
ママの声が聞こえた
「はーい」私は母にどこに連れて行かれるのかと
ドキドキしながら返事をした
小一時間ほど車に乗っていた
立派な家が立ち並ぶ中の一軒に華夜と帆名嘉が乗った
車が入っていく
華夜は帆名嘉とともに家政婦に案内された薄気味悪い
部屋に入っていく
「アペンテスト様 華夜を連れてまいりました」
「こ、こんにちは」
私は何だか身の危険を感じてしまった
「49894、君は外に出てシェルフでコーヒーでも飲んでいなさい」
ニコッと笑うアペンテストの顔は気味が悪かった
母が部屋を退室しこの空間に私とアペンテスト たった二人になった
「50011、……たしか華夜だったかな」
「はい」 なぜだろう アペンテストの声を聴いていると呪われた気分になる
「華夜、パパだよ」 「はぁ?」
今のは私の耳がしっかりと捉えていた『パパ』というワードに反応して
「信じられないよね~僕が君のパパだなんて」
あぁ 信じられない 私の『パパ』は『お父さん』だけだ
しかしここでは『華夜』を演じなけらばならなかった
「あなたが私のパパなんですか?]
『華夜』ならこんなことすぐに信じる それが私が積み上げた華夜なんだ
「あぁさっきからそう言っているだろう、華夜」
「嬉しい!パパに会えるなんて パパ!」
私もとい華夜はパパことアペンテストに飛びついた
アペンテストは私を抱き留め華夜の父を演じていた
私は完全に輝夜としての記憶を取り戻している
「華夜、御前、地球はしっているか?」
地球確か学校の歴史で習った
今住んでいる星に来る前に人間が暮らしていた星らしい
地球温暖化とかで住めなくなったらしい
「うん!知ってるよ!」
「そうか、なら何故地球から離れることになったか知ってるか?」
「?」「地球温暖化が進みすぎたから?」
「学校に行ってないのになぜ知ってるんだ?」
ヤバい そうだった 今の私華夜は学校に行ってない
「テレビでやってた」 「そうか」
ハぁ 危ない危ない
「御前知らないんだな なら教えてやろう」 「?」
「地球に住めなくなったのはな 俺が不老不死の薬を作るための実験を
繰り返したからだ 帆名嘉も俺の姉も不老不死だ 御前もなるか?」
私は頭が真っ白になっていた 自分の好きな星の地球を犠牲にしてまで
不老不死になったのがあり得なかった
私が我に返ったときはもぅ時すでに遅し 止められなかった