母の愛とジャスミンティー
目が覚めると毛布がかかっていた
(誰かがかけてくれたのかな?)
そう思って起き上がった
しかし目の前に広がっているのは見たこともない景色だった
「あら、起きちゃった?]
そう声をかけてきたのは先生だった
「ここは、どこですか?」
私は怖がりながら先生にそうたずねた
先生はにこっと微笑みながら
「ここは先生のお家よ。そして今日から輝夜、あなたのお家よ」
「えっ?」私は先生が言った言葉を聞き返した
「あれ?お母さん何か変なことでも言った?」
そう言う先生の言葉に私は確信を得た
先生は本当に私をここに住まわすつもりなんだと
「先生、私はここに住むつもりは一切ありません。だからお父さんとおばあちゃんのところへ返してください」私は勇気を振り絞って先生に訴えた
「まぁまぁ、そう言わずに輝夜の好きなジャスミンティーでも飲んで落ちつきま
しょ」先生はそう言ってリビングのテーブルへとカップを運んできた
「はい…」私は何の警戒心も持たずにジャスミンティーを飲んでしまった。
「あれ…何だか、また、眠く、なって、き、た…」そのままソファーに倒れこむように寝てしまった たぶん睡眠薬でも仕込まれていたのだろう
「…………ごめんね…………」
そんな先生の言葉が真っ暗な私の頭に鳴り響いた
~外~
「速報をお伝えします。先日から行方不明となっている月野輝夜さん(12)の御家族の方が情報提供を呼びかけています。お電話は×××‐△△△‐○○○までとのことです。繰り返します。 お電話の方お待ちしております。」
そう、月野輝夜は帆名嘉先生によって誘拐されていたのだ
~家~
「輝夜…ごめんなお父さんがこんなんで」
「ごめんなさいね 私の育て方が悪かったから輝夜がこんな目に...」
輝夜のおばあちゃん、由美子が自分の娘帆名嘉の育て方へのあやまちを
感じていた
「お義母さんは悪くないでしょう ただあいつを、帆名嘉を本当の子のように育てただけでしょう あのお方の御指名で」
「………」しばらくの間二人の間に沈黙が流れた
次に目が覚めたときは真っ暗で何も見えなかった
いや違う 目隠しをはめて何も見えないようにされていたのだ
体も動かない 縄で縛られている
コツコツとハイヒールの音がこの部屋になり響く
まるで先生がはじめて私達の教室に来る時のようだった
そして誰かが私の側によって来てこう言った
「輝夜、静かに寝ているふりをしていなさいそうすれば必ず助かるから」
その声は紛れもなく帆名嘉先生だった
先生は私にそれを伝えてまたどこかへ行ってしまった
〈ギィー〉と扉が開く音がすると思った瞬間私の首にチクッと何かが刺さった
「ボス、入れました」
「そうか、なら帰せ」
そんな二人の男の声が聞こえてきた
私の体内に薬が流れ込むのを感じた…
マイクロチップと記憶を消す薬を入れられた
「ガンッ」
殴られ気を失ってしまった