チビ猫、おとなのカクテルをつくってもらう
「父の日のおくりもので人気なのは、やはりお酒ですかにゃあ。
フルーツにするなら、とくていのこれ! というよりは、もりあわせの方向ですにゃあ」
それは、父の日のスペシャルメニューを考えていた時のこと。
マリーさんが調査結果を発表すると、チビはこくびをかしげます。
「おさけ……またたび酒かなあ?」
「うーみゅ、またたび酒はねこ以外だと好みがわかれるお品ですにゃ。
この季節のくだものといえば、マンゴーがいいですかにゃあ」
マリーさんがすっとさしだしたタブレットには、オレンジのいろあいがきれいで、キラキラでとろっとしている、ゆめみたいなカクテルがうつっていました。
「わああ……これも、おさけなの?
すっごくきれいで、すっごくかわいい!」
「ですにゃ。
マンゴーをベースにしたフルーティーなフローズンカクテル。その名も『Binfen』という、夏限定のお品ですにゃ」
チビのおめめはキラキラ、やわらかなけなみもぽわぽわ。
今回モデルにするメニューは、これできまりです!
ミーコさんが、感嘆のため息をつきます。
「マリー、おまえは食べ物がからむと心っ底有能な化けねこにゃ!」
「それほどでも~」
「しかしチビ。
きょねん、ばらづくりにはそうとう苦労したにゃ?
そのリメイクは、それなりてごわいとおもうにゃ。
『タンジェントノーマルのベイク』という、新チャレンジでもあることだしにゃ」
「うーん、そこはチビ、がんば……」
がんばるといいかけて、チビはことばをきります。
なんかすっごいキラキラ光線を、よこから感じたからです。
その発信源には、めっちゃキラキラしてはいはいっとてをあげている、ひにゃさんがいました。
「えっと、ひにゃさん?
すっごくうれしいし、ありがたいけど、チビ、あまえすぎじゃないかな……?」
「かわいいチビちゃんのためならわれわれどんだけだってがんばれちゃうにゃっ!」
チビがそうっとたずねると、ひにゃさんはハイテンション!
ミーコさんに無言のつっこみをもらって、軌道修正します。
ひとつ、ふたつとせきばらいをすると、にゅっとまじめなおかおになります。
「っとごほんごほん、それもあるけど……
ミーコのいうとおり、このところの日程はかなり厳しいにゃ。
今回は純粋に九日作業期間があって、バラとデザートに全力出す予定。
それはそれで、いいのにゃ。
でも、次回の予定。これえらいことになってるにゃ?」
「えっ?
夏野菜さばカレーと、たこやきと、SFなおひるねベッドと、おりょうりようエレベーターだよね?」
こてんとこくびをかしげるチビをみて、いっしゅんえがおにもどっちゃうひにゃさんですが……
いけないいけない。ぷるぷるぷるっとくびをふって、今度は自力でたてなおします。
「サラッといってるけどねチビちゃん。
それほぼほぼ『デスマーチ』だからね?
カレーとおひるねベッドは、モデルからつくらなきゃだし。
たこやきは、作って食べれるすばらなワールドが誕生してるから、勝負を挑むのはほぼ負けイベだし。
お料理用エレベーターでの注文はメニューにカレーたこやき含むから、最低限でもカレーのモデルが確定したあとじゃないと完成しない。
そして工期は六日だけ。
ぶっちゃけ調理ギミック部分のリリース捨てても無謀でしかないよ?」
「えっ、そう?」
チビはきょとんとしています。
たしかに、いまのチビなら、それぞれを一日で、しかもなかなかのクオリティで仕上げちゃいそうです。
でも、ひにゃさんはいいます。
「もしもの話、だけどにゃ。
一日、病院に行くことになって、もう一日ご用で動けなかったりしたら、これはもう、間に合わないにゃ。
わるいことはいわないにゃ、カクテルはひにゃさんにまかせて、チビちゃんはさきにいくにゃ!」
ここでミーコさんが「ちょっとまった」と手を上げます。
「ひにゃ、たこやきのワールドって?」
「ああ、さっき見つけたんだがにゃ。
作る、食べる、たこやきマシンをそうじする、まで、一連のすべてをできる素敵アセットがBoothに出品されたのにゃ。
そして、それを体験できるワールドもできてるにゃ」
「ぬう……。
たしかにそれなら、『今』『急いで』たこやきづくりギミックを作るのは、得策じゃないにゃ」
ミーコさんがうんうんとうなずけば、チビもおおきくうなずきます。
「そうだね。
すてきなワールドがもうあるなら、チビ、まずはおべんきょうにいきたい!
そうなってくると、うん。
こんかい、たこやきづくりギミックは、やる時間ないかも。
たこやきの完成品はおかりできてるから、まずは、カレーのかんせいひんと、おひるねカプセル、おりょうりエレベーターのギミックをつくっちゃって……
あとは、そのあと。じゅんにできるとこまで、やってくことにする。
そのためにも、父の日カクテルは、ひにゃさんにおねがいします!
おとなもうっとりしちゃうようなカクテルってどんなのか、ひにゃさんのほうが、わかってるはずだから。
でも、あとでやりかたおしえてね、ひにゃさん!」
「がってんしょうち!」
そんなわけで、今回の新メニュー「マンゴーたっぷり・微炭酸フローズンカクテル」は、ひにゃさんが作り上げたのでした。
そして、無事作業がおわったのち、チビはさっそく、ひにゃさんにつくりかたをみせてもらいます。
「実はほとんどのパーツに、お借りしたアセット様を使わせていただけたにゃ。
ぶっちゃけ、VIPルームにおかしてもらってるバーのプロップいろいろのセットにゃ。
だからひにゃがこさえたとこは、うえのフローズン部分のカタチと色、そこにのっけたキラキラ、そして、グラスの中のグラデーションだけにゃ。
このなかでチビちゃんにとって目新しいのは、フローズン部分のモディファイア「ディスプレイスメント」にゃ」
「それって、頂点のいちを、うごかしてくれるモディファイアだよね!」
「そうそう!
ちょっとやってみせるにゃ。
まず、カクテルの水面部分を簡単に色付け、複製。
新しいほうに『面をさしこみ』、二回。
プロポーショナル変形でにょっと山にして……
スムーズシェードつけて、サブディビジョンサーフェスをそこそこかけて。
しかるのちモディファイア「ディスプレイスメント」を使うのにゃ。
カプセルっぽいボタンおしたら、タイプ選べるウィンドウが開くから、「クラウド」を選んで、サイズと強度を0.5と0.1くらいに下げるにゃ。
でもって、位置とかスケールをいじって、もとの水面にうまーくのってるかんじにしたら……
シェーダーでいろかえて、キラキラもつけて、オレンジの輪切りをくっつけて、できあがりにゃ。
モデルにさせていただいたカクテルとちがって、こっちはキラキラを全体にちらばしたにゃ。
んで、ユニティいれたら、お酒の氷を魔改造したマンゴープリンキューブをさらに上にのっけて、おさらとおさじをそえて、できあがりにゃ!」
できあがったカクテルは、ちょっとほんもののようにもみえます。
チビはだいこうふんで、ぴょんぴょんです!
「うわー、すごい、すごーい!
まるでほんとのシャーベットみたい!」
「にゅふふ、いえーい!
この『ディスプレイスメント』は、カレーとかをつくるのにもつかえるにゃ。
めっちゃべんりだから、おぼえておくといいにゃ」
「はいっ! ありがとうございましたっ!!」
とおもったら、しっかり着地して、まじめにぺこり。
そのかわいらしさに、たまらずほんわかほんわかしてしまう、ひにゃさんたちなのでした。
参考
夏季限定のマンゴーカクテルを大特集!デートが華やぐ、ホテルバーのイチオシ4選
3. 昨年話題となった“大人のかき氷”が今夏も登場! リーガロイヤルホテル東京『セラーバー』
https://tokyo-calendar.jp/article/26141
こちらの『ビンフェン』をオマージュさせていただきました。
金箔をてっぺんに乗せるのでなく、全体に散らしたり……
生クリームとフランボワーズリキュールを下層にしいて、違う味わいを工夫してみました。
3D masshiro さん
初心者向け【blender】 簡単なノードでいちごミルクのモデリング ショートカット字幕付き【Cycles】
https://www.youtube.com/watch?v=no072HUtL5Q
ソルベ部分をこれで。
ディスプレイスメントは夏野菜カレーにも使いました!
やっっとカレーが転がらなくなった……いやほんとどーにかなるんかこれ。
げふんげふん、次回は『チビ猫、夏野菜サバカレーをお出しする』6/21投稿予定です!
同日ワールドアップデート予定です。
あわせて、どうぞお楽しみに!