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日向、ばらの花のリメイク方法を模索する

トライA 切ったらよくね?

 特に中心部です、悩ましいのは。


 ノーマルマップもしくはハイトマップを作成・利用すれば大幅軽量化、いけると思います。

 だがまずは、モデルの中でかくれて見えない部分を切ってしまわんとならないでしょう。

 ただどこから切れるかが難しそうです。

 モデルに平面を当てて検証するか……。


 いっそのこと、真上からのスクショからオンラインサービスでノーマルマップを作成し、中心部にいれこんだ円盤パーツにはっつけるべきでしょうか。

 うーんうーん。


 まあうなっていても進みません。実際に平面を当てて、切れる(切っても不自然にならない)ところがあるか検証してみたら、これはいけます。

 その平面をはなびらと同じ色にしてしまえば、かなり大胆にカットができます。


 というわけで、その部分でパーツを上下に切り分けてみます。

 入用な上部分だけを、ハイポリモデルとして確定しました。

 おつぎは、それによく似た・しかし単純なカタチをしたローポリモデルを作ります。


挿絵(By みてみん)


 しかし、ここで詰まってしまいました。

 最初は『デシメート』『細分化を再現』でいけるかと思ったのですが、3000うんぬんを900いくらにしたって、それ大してローじゃないのでは?

 というわけで、ハイポリモデルの寸法をもとに、下がでかい円柱作ろうとしたのですが。


「このわきっちょの交差しちょる部分どないしよ……つかそもそもこんな交差ブッチしまくっとるのでええんか??」


 悩みが手を止めました。問いかけると我が心は言いました。これはとても無理です、と。

 そういう形をしたモノならばまだしも、『交差しちゃう問題をブッチしたために交差しまくってる』って、ダメすぎるでしょう。

 さらに中心のほうなんて、シンプルに縮小して作ったせいで、花びらが子房の中心からぶち生えてるし……。

 そのため、いったんそこまでは検証と割り切り、当該部モデルの作り直しからリスタートしました。



トライA- いったんリメイク

 花びら同士が交差しないよう、ナナメにかたむけ。

 スカスカにならないよう、交差しないレベルで大きくします。

 これを中心の三層において行いました。

 だんだん調整がめんど、もとい難しくなります。

 ぶっちゃけ三層目が限界でした。


挿絵(By みてみん)


 しかし幸いにも、四層目はもう花びらがうにゃってないくらい咲き進んだ状態でしたので、もとのものをサイズ&位置調整して使うことにしました。

 あとの外層は、そもそもすでに三枚一セットに変えてあります。

 よって花びらが互いに突き抜けないように、なんとか調整すればよかんべ、という、見通しは立ちました。



トライB 物理シミュレーション(※ぶっちゃけ失敗)

 しかし、うーん、これでいいのか。

 モデルの具合を見ながら、ひたすら対症療法的に調整している現状。

 もっというなら『したいかたち・あるべきかたち』ではなく、『何とかかんとか、できるかたち』に力業で押し込んでいるような状態。

 こんなでええんか(※反語)

 かっちょよく言うなら、どうにも『美しく』ない気がします。


 なんというか……花には、花なりの『筋道』があるのです。

 それに沿ってきちんと、作っていきたい。

 というかそうじゃないと、つくりかたにもかたちにも、確信がもてない。

 そう思うから、アホほど調べまくるのです。

 構造から栽培記、種々の研究記録まで、できる限りの情報を集めるのです。


 でも、それだけではまだだめだ。

 まだ、表層的な見た目しかまねられていない。

 近頃はとくに強く、そう思うのです。

 今ここでいうなら、渦を巻いて膨らみながら咲いていく、ばらの花びらの筋道をひとつの記述で再現する方法が、あるはずなのです。


 そこで思いつきました。ジオメトリーノードだ。

 これを使えば、一貫して・連続的に変化する花びらのトランスフォームを再現できるはず。

 そして思い出しました。ジオメトリーノードで『咲き誇るばらを生成する』方法をチュートリアルしてくれる、神動画があったと。


 一年前は圧倒的に前提知識が足りず、ギブアップしてしまいましたが……

「み、見えるっ!? 見えるぞ!!」

 今見たら、うれしいことに理解できます! 

 しかしこちらでも、やはり花びらが互いにつきぬけてしまう問題は解決できていないようです。


 Blenderには、モデルの交差を防ぐ・修正する機能はないそうです。

(『自己交差するメッシュの直接修復』という論文が存在しているため、希望はないわけではないですが、すでに10年くらい経っているので……)


 ただ、交差が起きているか否かを示してくれる機能はあります。『メッシュ分析』です。

 編集モードの状態でビューポートオーバーレイを選択。

 半ばほどにある『メッシュ分析』のチェックボックスにチェックを入れ、タイプを『交差』に指定します。

 すると、重なってる部分が赤い表示になるのです。


 もし、メッシュ分析をおこなってその結果をぶっこんで再計算する……というプログラムが書けたなら、なんとかできそう?

 いや、自力でそんなんせんでもええわ。

 我々には、クロスシミュレーションがある!

(ソフトボディシミュレーションで扱うには、花びらの材質は固いです。コットンとレザーの間くらいか?)


 花びらを単一の布として扱うのでなく、薄くともつめもののある『ぬいぐるみ』として仕立て……

 全層同時にシミュレーションするのがきついなら、内側か外側、形状の確定した層のローポリモデルを『障害物』として、一層ずつシミュレーションを繰り返すことで、やれると思います。



 てわけで、作業の順番考えてみた。


 ぬいぐるみ花びらを簡易にモデリング。

 子房の周縁部に花びらを配置、下端を固定。


(この過程で前述の『バラが咲くアニメーションの作り方』での方法を使えればいいのだが、生成した時点でメッシュが交差してしまっているので、うまくいくのだろうか?

『追加カーブ:Extra Objects』のカーブスパイラルにジオメトリーノードを使って――つまり朝顔を作った時のようにして――まずは交差のしようのないほど小さなオブジェクトを配置したのち、クロスシミュレーションを起動した状態でオブジェクトを大きくしていくほうがいいと考えられるので試してみる)


 各種数値を設定し、クロスシミュレーションを行ってハイポリモデルを作る。

 ハイポリモデルができたら層ごとのローポリモデルを作成、『障害物モデル』として次段階のシミュレーションに用いる。


 作業の順番は、中間層(1)→中心層(3くらい)→外延層(3くらい)

※順番づけの理由

 中間層はもっとも形状が単純になるので、やりやすく基準にもできる。

 中心層は子房へと向けシュリンクしていくので終わりが見える。さらに、結果が良くなければ、天面だけの画像を使用する方向に切り替えてしまってもいい。

 外延層は印象づけの要素として最も大きなものであるため、仕上げ段階に位置させたい。


 ハイポリモデル・ローポリモデルが出来上がったら、ノーマルマップのベイク。

 ローポリモデル版をユニティに入れてみて動作の重さチェック。

 これと容量がとんでもなく軽かった場合をのぞいて……

 冒頭でやっていたように、切れる平面でモデルを切りわけ、見えない部分を省けるようにする。


 今回の準備期間は、今日 (6/7)を含めて八日。

 最大三日頑張ってもしダメだったら、さきほどまでの工程を進めて今回は作り、機を改めてリベンジすることにしましょう。



 さっそく、花びら五枚でとりあえずシミュレーションしてみることにしました。

 とりあえず適当な設定で走らせてみたところ超絶重い。だけならまだしも、花びらのモデルがじゃぎじゃぎに壊れる。

 計算重すぎて、花びらの壊れないちょうどいい数値を探ることすら無理そうだ。

 続行するなら、花びら一枚ずつシミュレーションしていくのか……3層五枚15回か……。


挿絵(By みてみん)


 しかしそもそもだ。どこにどんな力がどんだけ加わってるんじゃこれ。

 咲こうとする力と重力がはたらいているのはわかる。その『咲こうとする力』はどっからどうやって発生するんや(どっち向きに、どんだけの、は、シミュレーション結果をおんなじカタチにするチカラを探ればいっか)。


 探しているとジャストミートな論文に出会うことができました。

『Ethylene-regulated asymmetric growth of the petal base promotes flower opening in rose (Rosa hybrida)』です。

 こちらによれば、花が開く動きは花びらの基部、つまり付け根部分の細胞が、内側外側非対称に成長することで実現されているというのです。

 電子顕微鏡写真から花びらの付け根からの距離別の厚み計測結果のグラフまであります。

 もう神だ。

 これをシミュレーションに落とし込めれば完璧や!


 だが、うん、具体的にどうしたものか??

 圧力値をたがえたクロスシミュレーション対象オブジェクトをふたつはりあわせ、シミュレーションを行えばよさそうだったがうまくいかない。


挿絵(By みてみん)


 結局望む結果にならずMP切れ@6/9朝。

 まあ門外漢の雑なアレだからな。うまくいかなくてむしろ当然じゃ。

 これ筋肉の動きのシミュレーションとおなじかんじになりそうだけど……うん、今回はいったんやめよう胃に来てる感がはんぱねえ。


 結論、すくなくとも今の日向にバラをシミュレーション・再現するのは無理みたいです。

 そらそうや吾輩ごときブレンダーキトゥンにやれるんやったらとっくにプロがそのみちすじで実現しとるわ。

 やはり今回は昨年モデルの軽量化と割り切りましょう。A-をそのまま拡張しましょう。

 大丈夫、色は去年よりいいかんじにつけれるはず。そう信じてる。



トライA-からのα やっぱリメイク

 そういや今気づいたが、バラの花びらってどっちむきに重なって開いてるのや。

 上から見ると、奥側の花びらが←内側にまるまってる→外側にひらいてる状態、つまり右巻き・時計回りでいいみたい。

 今きづいたけど、ちゃんとたしかめずノリで作っていた。

 でもあってたよかった~。


 そして6/10、交差なしバージョンを作れました。

 はいひたすら力業です。けれどおかげで、一層分へらせました。

 容量自体は変わらないのですが……

 そのままインポート用ワールドに五つくらい置いてもぜんっぜん重くない?!


挿絵(By みてみん)


 これならいけます!

 やはり内側を切るのはやめて、これで行きましょう。




参考


CGbox さん 【チュートリアル紹介】バラが咲くアニメーションの作り方!

https://cgbox.jp/2024/01/12/news-tutorial-makebloomingroses/

こちらでご紹介の動画がこちら

Cheuqs さん Make Blooming Roses in Blender Geo Nodes

https://www.youtube.com/watch?v=H6CjBimRXUQMake Blooming Roses in Blender Geo Nodes


ATTENE Marco さん 自己交差するメッシュの直接修復 

Graphical Models (Graphical Models) 巻: 76 号: 6 ページ: 658-668 発行年: 2014年11月

……の、レジメ

https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201402251276734754


夜風のMixedReality さん Blenderで他のメッシュと交差関係にあるメッシュを可視化する

https://redhologerbera.hatenablog.com/entry/2023/01/23/212729


ほろほろりドットコム さん

[Blender 2.9] 柔らかな物体の表現 [ソフトボディシミュレーション]

https://horohorori.com/blender-note/physics-simulations/about-soft-body-simulation/


[Blender 2.8] 布の表現 [クロスシミュレーション]

https://horohorori.com/blender-note/physics-simulations/about-cloth-simulation/


木谷 修 さん 文系の blender 4.0 クロスシミュレーション 基本動作まとめ

https://note.com/kitaniosam/n/n9395afb0d7fc


菜園の柱 さん Blenderでベイクできました!初心者TexToolsアドオン推奨です!

https://garden-pillars.blog/post-1944/



花の咲くメカニズム


Yahoo!知恵袋 さん バラの花弁が右巻きなのは何故でしょうか?

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1063814570


バラの花びらの巻きの向き

sion さん ビーズフラワー 薔薇

https://note.com/si__on/n/naa5f68f47a35


らりこさんの園芸日記 さん 薔薇の花の渦巻きはお好きですか?

https://www.shuminoengei.jp/?m=pc&a=page_mo_diary_detail&target_c_diary_id=60032


私的植物研究サイト さん 論文)バラの花が咲くメカニズム

https://blog.goo.ne.jp/rebun10b/e/7ba9390fe204d0dfa195b067a254f9aa

でご紹介の論文

Ethylene-regulated asymmetric growth of the petal base promotes flower opening in rose (Rosa hybrida)

by Chenxia Cheng , Qin Yu , Yaru Wang , Hong Wang , Yuhan Dong , Yuqi Ji , Xiaofeng Zhou , Yonghong Li , Cai-Zhong Jiang , Su-Sheng Gan , Liangjun Zhao , Zhangjun Fei , Junping Gao , Nan Ma

The Plant Cell, Volume 33, Issue 4, April 2021, Pages 1229–1251,

https://academic.oup.com/plcell/article/33/4/1229/6126472?login=false



そもそも右巻き左巻きって?

ウィキペディア さん 右巻き、左巻き

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%B3%E5%B7%BB%E3%81%8D%E3%80%81%E5%B7%A6%E5%B7%BB%E3%81%8D



次回は『チビ猫、あらたなばらをとりどり咲かせる』6/15投稿予定です!

同日ワールドアップデート予定! でもまだばらしかできてないよどうしよう (爆)

あわせてどうぞ、お楽しみに!


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