インターミッション:チビ猫、ひみつきちのひみつを明らかにする
チビのツリータワーワールドは、世界樹ユグドラシルにならった、何層かの世界構造になっています。
いちばんうえは、天空島。
つぎが、ツリータワー島と水中カフェ、ひるねこおんせんがあるところ。
そのしたが、ポータルいっぱいの地下ラウンジ。
さらにしたが、カジノになっていて……
いちばんしたに、SFなひみつきちがあるのです。
ほんとうなら、クリスマスにはリリースしたいところでしたが……
じっさいにほかの作業を始めてみると、それはむり、ということがわかり。
『一月中に着手。二月にツリータワー、ひるねこおんせんの正式アップデート終了後に、じょじょにつくってリリースしていこう』と、きめなおしました。
カジノほんたいをやったときみたく、一月のアップデートじゅんびのすきまをぬって、ちょっとずつじゅんびをかさねていこう、そうかんがえていたのですが……
はじめてつくる、といれっ島やVIPルームのギミックは、わからないところもおおくてむずかしく、ここまでほとんど、なにもできずにきてしまいました。
けれど、チビはめげません。
とにもかくにも、できるとこまでやってみます!
まずは、ユニティアセットストアをまわって、いくつかのアセットをおかりしました。
そうしたらつぎは、間取りをつくります。
とはいえ、じつのところ、チビは『SFテイストな基地』なんて、つくるのもかんがえるのも、はじめてです。
マイクラにゃんこのミーコさんも、ワールドづくりおたくねこのマリーさんも、けっこうはくしきなヒロさんも……
さらには、チビのおとうさんとおかあさんも、そろってこのへんははじめてでで、チビチームはどうやらまさかの、お手上げ状態のようです!
「こういうの、くわしそうっていったら……」
そのときチビたちのあたまにうかんだ人物 (にゃんぶつ?)は、そう。
「ひにゃさん?」
「ひにゃさんかなあ」
「うむ、ひにゃ一択にゃ」
建築大好き、パイ大好きのねこまた、ひにゃさんでした。
「にゃらばさっそく、パイのおとりよせをしましょうにゃ!
パイがあるときけば、ひにゃはとんでくるはずですからにゃ!」
そんなわけで、翌日。
みごとにチビチームは、ひにゃさんを召喚、もとい、お招きすることに成功したのです!
「おまねきどうもありがとうございますですにゃ~。
いやはやうれしおすにゃ~。
こちら、オススメの『ひとねこりょうよう』のおちゃっぱですにゃ、よろしければ」
ひにゃさんはめちゃめちゃうれしそうなえがおで、ヒロさんちにやってきました。
おみやげのおちゃをもってるまーるいおてては、てぶくろをとったらほぼほぼねこのものだったあたり、やっぱり人にばけるのは、にがてみたいですが……
それでも、満場一致で『ひにゃさんなら!』となっただけのことは、あるみたいです。
「まず、チビちゃんにおしえてほしいことがあるんにゃけど。
その基地って、何をするための基地なのにゃ?
カジノワールドのバックヤードてきなとこ、ってことはきいてるけど、しょうじきそれだけじゃないかんじがするにゃ。
といれっ島やVIPルームが別だてでつくられてる以上、事務所や医務室とかの施設いろいろをたばねるためのものでも、どうやらなさそうにゃし」
するどいしつもんを、なげかけてきたのでした。
「……あのね」
するとチビは、これまではっきりとは口にしなかったおもいと……
おおきなまよいを、かたりだしたのでした。
すべてをききおわると、ひにゃさんは大きくうん、とうなずきました。
「にゃるほど、チビちゃんのはなしをまとめると。
ここはもともと、『デジタルタトゥー』や、ネットを利用してのインチキ工作にくるしむひとたちのため……
ときにたたかい、ときにいやすための、きょてんにしたいものだった。
でも、たたかうほうほうは、デジタルバトルじゃない、リーガルバトルだった。
計画を立てたあとに、それがわかって……
目的を失ってしまった基地を、つくるべきなのか、つくれるのか。
けど、もう予告しちゃってるから、やめるのも……
と、そう、迷いがでてきてるわけにゃ」
「そうなの。
よこくは、みんなとのおやくそくだから。
でも『基地』ってやっぱ、たたかったり、たんけんしたり、するためのおうちだし……」
「にゃるほど。にゃるほどにゃあ……
いっしょうけんめい、かんがえてるのにゃあ。
チビちゃんはほんと、まっすぐな、いいにゃんこにゃあ……!」
チビはしんけんすぎるほど、しんけんです。
ひにゃさんはちょっとうるうるしながら、そんなチビをやさしく『よしよし』してくれました。
そして、ちからづよくいいきります!
「よしゃ! ひにゃさんだんぜん、チビちゃんのためにがんばるにゃっ!!
まず、けつろんとしてにゃ。
つくろうにゃ。つくるのにゃ。
チビちゃんのつくるSFな基地、ひにゃさんもみたいにゃ!」
そうしてひにゃさんは、ナイスなアイデアをしめしてくれました。
「だいじょぶ、SFな基地には、『アレ』があるにゃ。
ひととかがはいってる、でっかい光るカプセルにゃ!
そこで、アバターをつくったり、かいぞうしたり、メンテしたりしてたら、もうばっちしSFな基地だにゃー!」
「ふおおお!」
そのはっそうは、なかった!
チビは感動のこえをあげます!
ひにゃさんは、さらにつづけます。
「チビちゃんのあこがれのあのこたちも、おしごとはVアイドルにゃ。
Vにはアバターがひつようふかけつにゃ。
それをいろいろしてれば、それはもう、『バーチャルなステージにかっちょよく出撃!』するための、たのしいたのしいひみつきちにゃ!
それに……」
ここでひにゃさんは、ちょいワル……なのかな? たぶんそうかな? な、おかおで、にっこりわらいました。
「ネット事案のリーガルバトルをするんなら、デジタルなきょてんはあってこまることはないのにゃ。
なぜなら、そういうのはまず、スピードがいのちにゃ。
対処しなきゃなんない情報を、がががっとみっけてばばばっとアレするための『情報戦るーむ』をつくっとくのは、そのお役に立つこととおもうのにゃ」
もちろんその『情報戦ルーム』で、ほんとの情報処理や、リーガルバトルのお手伝いはできません。
たとえできたとしても、それにかかわるいろいろをこなすのは、おおきなおとなでも、むずかしいことでしょう。
それでも……
そうやって『こねこだって、いじわるは『めっ』なんだよ!』ということを、そっと世界のかたすみにしめしていくことは、けしてむだなことではない。
そうかんがえるのは、ひにゃさんもおなじだったようです。
「まずは、このふたつをコアとして。
まわりのいろいろを、つくってくことになるんにゃけど……
もしなんなら、またひにゃさん、お手伝いするし。
ひにゃのはなしにでてくるたてものも、モデルにしてくれていいにゃ。
チビちゃんなら、しんようできるから。
ねことしても、作り手としても」
「………………!!」
そうしてもらった、うれしい、うれしすぎることばに、チビはもう、なにもいえなくて……
しばしぴょんぴょん、その場で『はねるけだま』になっていたかとおもうと、ひにゃさんのもふもふのむねに、ぽんっととびこんでいったのでした。
「それにしても……」
マリーさんが、かんにたえないようすでいいました。
「チビどのは意外なくらい、『反骨精神』のねこだったのですにゃあ。
こんなにちっちゃくてかわいいのに、『悪事とたたかう!』にゃんてことをかんがえてたとは……
マリーさん、もうほれなおしちゃいそうですにゃ~!」
「えへへ、そうっ?」
えへへとてれるちっちゃなすがたは、とっても『たたかう』なんてこと、かんがえるようにはみえません。
ヒロさんもうんうんとうなずきます。
「僕もほんと、びっくりだよ。
……ちょっとミーさんみたい」
「うむ、ワガハイのでしにゃからにゃ!
ちなみにワガハイはきづいていたにゃ」
そしてミーコおねえちゃんは、『めいたんてい』さながらの、おどろくべき推理をひろうしたのです。
「天空カフェと水中カフェは、流れでおもいついたものにゃから、対象外として……
住居と食、楽しみと勉学の機会を与え、有事の脱出にも危なげのない『ツリータワー』。
心身の傷をいやす『ひるねこおんせん』。
実質無料でも遊べる、遊びと気晴らしに特化した施設『カジノ』。
チビが最初から『つくりたい』といっていたこれらの施設は、すべてチビの大好きな『あの子』とその仲間、家族のために作られていることは明白にゃ。
そのなかで『SFなひみつ基地』だけは、目的がはっきりと示されないモノにゃったけれど、チビのプランにはさいしょっからはいっていた。
とすれば、『あの子』たちにささげるものであることは、まちがいない。
そして、ハッキリともくてきをいわないということは、……」
チビは、こくりとうなずいて、ほんとのきもちをうちあけます。
「うん。
あんまりね、『たたかう』とか、そういうこと、みんなにかんがえてほしくなかったの。
わかるひとだけ、そうかな、て気づいて、こころにとめといてほしかったの」
ミーコおねえちゃんはふふふとわらってチビをよしよし、ヒロさんをふりかえります。
「ほんとこういうとこ、チビはヒロさんそっくりにゃ。
ほっとくとぜーんぶ、じぶんでかかえようとする」
「それはよっぽど、ミーさんでしょ?」
ヒロさんもまけずに、ミーコさんをよしよし。
「ほのぼのにゃ~」
「ですにゃ~」
そんなさんにんのようすを、マリーさんとひにゃさんは、しばしほのぼの、みまもったのでした。
次回、新章突入!
次回サブタイは『チビ猫、白い水仙をつくる』2/1投稿予定です!
って明日じゃん?!Σ(゜□゜;)
えーごほんごほん。どうぞ、お楽しみに!