表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
205/339

チビ猫、ふたたびの島をつゆぞらに浮かべる

「みゃっ、あかるーい!」

「あかるいにゃー!」


挿絵(By みてみん)


 つぎのアップデートは、コフレ<つゆもよう>。

 ちょうど、天空島をオープンしたあたりです。


 天空島コフレようのシーンファイルをつくり、そのときの空とにじを再現したチビは、はずんだ声をあげました。

 もちろん、見守るおねえちゃんたちも、ニコニコです。


 くものしたに、あめがふっても、ここはいっつも、いいお天気。

 ひなたぼっこを愛するねこたちにとっては、うれしいぽかぽかワールドなのです。

 しかもこのころは、あつくもなく、さむくもない、ちょうどいい気候ですから、おひるねだって、はかどります!


 ヒロさんはいつも、おうちのなかをあったかにしてくれていますけど……

 それでもやっぱり、ふとしたときにさむさが『こんにちは』してきます。


 それが冬というものと、わかってはいるけれど……

 それでもやっぱり、ときどき『さんさん』のひざしがこいしくなるもの。

 だからこそ今リリースすれば、同じきもちのひとたちに、きっとよろこんでもらえることでしょう!


 それに……

 なかなかこちらにもどれずにいる、チビのおとうさんとおかあさんとも、オンラインでなら、あえるのです。

 あたらしいワールドをリリースするたび、ふたりはかならず、あそびにきてくれます。

 それをひそかなささえに、きょうもチビは、がんばるのです。



 去年、このしつらえをつくっていたころに、チビのおとうさんとおかあさんは、こういっていました。

『もうすこしで、いまのしごとがおわって、こっちにもどってこれるから』と。

 そうしたら、新しいおうちをみつけて、みんなをごしょうたいしてくれる、そんなやくそくでした。


 けれどあれから、おしごとは長引いてしまい……

 おやすみの日に、このおうちにあそびにきてくれたり、とかはあっても、なかなかちゃんと、こちらにもどってくることはできずにいたのでした。

 でも、きょうはなんとなく、おとうさんとおかあさんのことが気になるな。

 そう思いつつも、チビはまず、目の前のことに集中するのでした。



 まずはバックアップを、コピペしてきます。

 最低限ワールドとしてだいじょうぶそうなのを確認したら、いちどコフレのなまえをつけて、ワールドアップロードしちゃいます。

 さいしょのアップロードは、はやめにやっちゃうのが『てっそく』ですし……

 いちどアップロードして、ワールドアドレスをもらっとかないと、ワールドゲートのしていができないですからね。


 そうしたら、こまかいところをなおしたり、きりかえができるように、こつこつととのえていきました。



 まず、まえの<新緑>と共有の、コフレラウンジからの移動さきを、コフレ<つゆもよう>のツリータワーに、なおして……


 いまのラウンジのアップデートを、すかさずやってしまいます。

 ひかりのはしらをふやして、ワープ先のワールドアドレスをなおします。


挿絵(By みてみん)


 さくらんぼにゃんをいれて、きれいに見えるように、マテリアルのレンダーモードもなおしました。

 つくったときは、Fadeでしたが、これだとうまく、光の中ですけません。

 Opaqueになおすと、そのへんのもんだいはないし、見え方はほぼほぼかわらないので、なおしてしまいました。


挿絵(By みてみん)



 まえにおんせんをやったとき、夜のにじをうすくするのは、ひるよるきりかえといっしょにしてましたけど……

 やっぱり、ちょっと気になるので(よーくみると、かべごしにオレンジのふちどりが、みえちゃうので)、ちゃんとべつべつに、わけました。


 おんせんは今回、バラをさかせたり、お昼寝クッションをだしたり、いろいろかえるところがあって、にぎやかです。

 でもツリータワーは、ちょっぴりじみです。

 バラがさくのと、ちいさなひなたがオフになるのだけで……

 へたしたら「あれ? なんにもおきてなくない?」って、おもわれちゃいそうです!


 まえについかした、わたげたんぽぽも、ちゃんといれてますが……

 これだけでは、ちょっとつまりません。

 なので、ハンモック島のピンクのばらとマッチした、ピンクのやぶをだせるようにしちゃいます。


挿絵(By みてみん)


 これならかわいいし、いいかんじです!


 天空島はシンプルに、なにもするところがないけれど、ちゃんとうごくかは、しっかりみていきます。




 そうしてさぎょうをしていると、ふいにメールがまいこんできました。


『やっとかえれることになりました! 父&母より』


 チビはかんせいをあげて、とびあがりました。




 その数日後、このアップデートをおえた日の昼すぎ。

 チビのおとうさんとおかあさんは、オンラインでなくリアルで、チビにあいにきてくれたのでした。

 それは、かわいいわが子にあうため、でもありましたが……

 これからのことを、話すためでもありました。


 ふたりは、すでにメールで、こういってくれていました。

 ほんとのおうちをたてるまでの、かりのすまいは、ほぼほぼきまってて……。

 チビさえよければ、いっしょにすめるおへやをかりるよ、と。


 チビのこころは、きまっていました。


「あのね……

 チビに、わがままいわせてもらえるなら。

 あたらしいおうちにひっこすのは、三月からにしたいの!

 二月は、ツリータワーと、ひるねこおんせんのラストアップデートがあるから。

 おとうさんと、おかあさんと、いっしょにくらせたら、チビすごく、すごくうれしいけれど……

 アップデートは、みんなとのおやくそくなの。

 おひっこしと、アップデート。

 りょうほう、ちゃんとできるか、じしんがないの」


 ヒロさんやマリーさんも、いっしょうけんめいフォローします。


「なので、おふたりがもしよろしければ……

 そのあいだ、このうちにいらしていただいても!」

「おへやのことはだいじょぶですにゃ!

 不肖マリー、友人とまたルームシェアしないかというはなしが今もちあがっておりますゆえ!」


 もちろん、ミーコさんも、ちからづよくこういいます。


「ワガハイとヒロさんのことは、きをつかわなくっていいにゃ。

 ヒロさんがいってくれたにゃ。『ほかのだれかといっしょにくらしていても、ミーさんへのきもちはいちミリもかわらない』と。

 ワガハイも、おんなじきもちにゃ。

 だからあとは、チビとふたりのきもちだけにゃ」


 それをきくと、チビのおとうさんとおかあさんは、にっこりわらってうなずきます。

 おとうさんが、やさしいこえではなしだします。


「チビなら、きっとそういうと……

 みなさんなら、きっとそうおっしゃってくださると、思っていました」


 おかあさんも、笑ってあとをつづけます。


「ほんというとわたしたちも、すこしこのまちになじむための、時間がほしいの。

 そのあとに、チビとちゃんと、はなしたいから。

 どこに、どんなおうちをたてようか、どんなくらしをしていこうかって。

 だから、まつのはだいじょうぶ。どうか気をつかわないでね、チビ、そしてみなさん」


 そしてさいごを、おとうさんがひきとります。


「『アップデートは、みんなとのおやくそく』。

 それは、わたしたちとのやくそくでもあります。

 それをりっぱにはたす役に立つのなら、わたしたちは、待ちましょう。

 ……いえ、待たせてください。

 その間、どうかチビを……」


 よろしくおねがい致します。

 おとうさんとおかあさんはそういって、チビチームのみんなに、ふかくふかく、頭を下げたのでした。


次回は『日向、にゃにゃにゃにゃにゃーにゃにゃにゃにゃーにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃ!』1/29投稿予定です!

どうぞ、お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ