88話 6才 ヒロイン視点4ー1 手紙
ーはずき視点ー(60話参照)
私は今でも、あの手紙を何度も読み返している。
人気になってから手紙は何枚貰えるようになった。
最初の頃は手紙を全然貰えなかった。
ある日から毎日のように貰うようになった。
運良くテレビに出ることになった。
深夜枠で、視聴率が最低クラスで、後数回の放送で終了になる番組だった。
今回は人気のない声優をインタビューをする会だった。
そして私が選ばれた。
チャンスだった。
頑張った。頑張ることを見せる番組だが、その頑張りを見せる為の準備も頑張った、が
結果はその後の視聴率の話を聞いて絶望した。
だが、その後から手紙が届くようになった。
初めて手紙を貰った。
素直に書いてあった。
「テレビの頑張りを見て、感動しました。
頑張ってください、これから沢山応援します。」
それから、毎日届いていた。
私はテレビに出ていないし、声優もやってないなので
外に出す情報を全くないのに、いつも私の所属する会社に出してくれた。
私は一度も、手紙に返事を返さなかった。
正直、、毎日届くとか、、、怖かった。
でも、私にとって大事なファン1号だ。
手紙の内容は応援からたまに、雑談が入るようになっていた。
高校で男友達と楽しくしていることを知った。初めて年上だと分かった。
初めて、ゲームの声優の収録が決まった。
その情報を流したあと、、
お祝いの手紙をくれた。 私は素直に喜んだ。
怖いから手紙の返事は返さなかったけど、、、
そのお祝いの手紙を大切にした。
収録の前に、見返そうと思って持っていた。
気がつくと、
それが収録をする前の、ルーティンのようになっていた。
彼の手紙は温かく、優しい内容が多い。
良いことがあったときに、彼の手紙を読んでさらに嬉しくなる。
辛い時に読んで励まされる。
いつの間にか、自分にとっては必ず必要な物だった。
他の人の手紙も多く来るようになったが出来る限り、
返事を返している。
相変わらず彼の手紙は返事を返さない。
もう怖いからではない、直接会って私の気持ちを伝えようと思った。
いつも私を応援してくれてありがとう、、って
ある日急に、手紙が届かなくなった。
私は何度も手紙は来ていないか確認をした。だが無かった。
私は後悔した。
返事を返さずに、他の人に手紙をあげていたからだ。
いつも手紙を送ってるのに、自分だけ来ないのは変だと思って当然だ。
悲しかった。毎日のように彼の手紙を読むことを楽しみにしていた。
体調が理由なのかもと考えたが、3週間来なかった。
もう来ることは無いのかもと思った。
それから私は声優の仕事はやる気が出ず、むしろ仕事をする度に、彼を蔑ろにした罪悪感を感じていた。
その罪悪感と、心の支えが無いことからやめようと思った。
そもそも彼の手紙が無かったら、もっとはやくやめようと思っていただろう。
だが、ライトちゃんから連絡が来た。
私は本当の理由を知り、真の意味で絶望をした。
同時にこれからの希望が一枚が残っていた。
ー現在ー
今日も収録前は彼の手紙を何度も読み返して読んでいた。
最近はそれに、加えてゆうきくんの手紙を読んでいる。
勇気くんはまだ6才なのに、4才の時からいつも手紙を送ってくれる。しかも内容が太陽くん見たいだ。
まるで毎日来ていた、、止まったはずの太陽くんの手紙の続きの来ているようだった。
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