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▩ 第二章 それは不思議な世界への入口3 ▩

 


 パカッパカッパカッ


 とある街の酒場の扉を大きく開け、甲冑姿の騎士が店に入る。


 騎士は馬をいなすと器用に店の入口で回転させ、スピードを落とす。


「殿下を見かけなかったか?」


 騎士は垂れ下がった髪を後ろでひとつにまとめるといった。


「殿下あ?見てねぇな。そんな高貴なご身分の方がこんなさびれた酒場に来るわけないだろうよっ。」


「そうだ。そうだ。」


 ビールを片手に酒臭い男たちが叫びあう。


 たまにビールの泡が飛んでばっちい。


「隊長っ!」


 扉を開けて駆け込んだ騎士はごにょごにょごにょっと隊長と呼ばれた方の騎士に耳打ちする。


「何。すぐに城にもどる。お前たちは先にもどっていろ。」


「はっ。」


「私は殿下をもう少し探してみる。」


「まったく殿下は…。」


 隊長と呼ばれた騎士は額に手を当て、ブンブンと頭をふるとたずなを引いた。




 




「う~んとこっちが上なのかな?それともこっちが上?」


 私はさっき助けてくれた人に渡された地図をぐるぐると回す。


 宿屋の場所を赤いペンで〇してくれてあるけど、目印になる町の建物がどこにあるのか?


 う~ん。わかりません。




 そうこうしてると、通りの奥の方に宿屋らしきものが見えてきた。


 三角屋根の小さな宿屋。


 多分地図の絵といっしょだから、多分あってる。


 石と木で作られた建物に、ベランダにはきれいな花壇。






「すみませーん。」


「あの~。」


 返事がないので、ノックしてからドアをそっと開ける私。


 そっと中を進んでいくと階段の下に作られた小さなカウンターとこじんまりとしたキャビネット。


 横には小さくてこじんまりとしたシックな扉もついている。


 しばらくするとカチッと音がして、横の扉が開いて茶色いエプロン姿の女の人が出てきた。


 オーナーさんかな。


 オーナーさんは扉から出てくると、帳簿に目を通す。


「あっ、ごめんなさい、つい、うとうとしちゃって。今日は泊り?それともお食事?」


「はい、泊まりの方です。」


「宿ね。わかった。お部屋は一銀貨の部屋と一銅貨の部屋があるけどどうする?」




 私は助けてくれた人が渡してくれたカードを見せる。


 端っこにはとりあえずみせとけのメモ。




「依頼状じゃない。それなら御代はいらないわ。今回は特別に東の特別室使わせてあげる。」


 そういうとオーナーさんはカウンターの引き出しをガサゴソすると鍵を取り出す。


「はいっこれ、鍵。二階の角部屋よ。あと朝食は7時きっかり。チェックアウトするときは私に行ってちょうだい。というか、わたししかいないんだけど。何か困ったことがあったら私に聞いてね~。」


 古びた、趣のある階段を進み部屋へ向かう私。


「あの人、貴族か何かだったのかな。」




 ☆☆☆




「それにしても貴族の依頼状だなんて。何年ぶりかしら。」


 旅人のいなくなったロビーでひとりつぶやく、女の人。


 カードを見つめ、つぶやいた。


「あの子、元気にしているかしら。」


 一瞬、目を下におろすと、パンパンと頬を叩き、袖をまくる。


「さ、仕事、仕事。」




 




 ガチャ。


 渡された鍵で扉を開けるとそこは大きな部屋だった。


 ベッドはひとつなのになぜか木目調のシックな洗面所が二つに、猫の足のついたお風呂、猫足のバスタブってやつかな?まである。


 部屋の雰囲気は宿と同じでちょっとおしゃれなヨーロッパ風ってかんじだね。


 窓を開けるとベランダがあるし、外からも見えた花とかもあるし。




「そういえば、図書館案内するって言っていたけど、いつ行くんだろ?ふぁあ、でも今日は疲れちゃったし、ちょっと寝ちゃってからでもいいよね。」


 私は大きくあくびをすると夢の世界へと落ちていった。








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