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▩ 第二章 それは不思議な世界への入口 ▩

 ぽとっ。


 静けさに満ちた森の中、朝露にぬれた草花がその身を揺らす。


 鳥は空を舞い、風は木々から水を落とす。




 ぽとっ。


「ううう~ん。」


 目の上がなんだか冷たい。


 雨かな。


 うっすらと目を開けると木の葉っぱが映る。




 なぜか、バスに揺られていた私は、深い深い森の中にいた。


 そっと手を動かすと何かにあたる。


「なんだろ、これ。」


 ざらざらっとした感触のソレは図書室で見たあの本によく似ていた。


 でも、埃はかぶってないし、すすけてないし、新品みたいに新しい。


 それに文字もちょっと見えるようになってる…。


 しかもその内容はどこかでみたことがあるものだった。


「もしかしてこれ、昨日、読んでた本?」


 でも書いてあるのは最初だけ。


 肝心な王子様のシーンはごっそり抜け落ち、虫食いだらけ。


 でもあの本は図書館に返したはずだし、こんなに色とりどりじゃなかった気がするけど…。


 字体もデザインもあの本とそっくり。




 最初は湖の絵。


 水色のお城が湖に映ってすごくきれい。


 次の絵は街の教会の絵。


 そしてその次の絵はきらびやかな王宮の絵。


 そしえその次は…。




「全部、わたしが昨日、読んでた本の絵にそっくり。」




 湖も。


 木も。


 花も。


 草も。


 何から何まで絵本の世界。


 あの王子様のちょっぴり悲しい物語にそっくりだった。






 そう、確か物語の出だしは…。




 ボーン、ボーン、ボーン。


 ようやく夜の闇から解放された街に朝の波が押し寄せ、時計台は自慢の鐘の音を響かせる。






 それは、まるで何気ない日常とは打って変わった物語の始まりのようだった。




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