表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

51/72

昼下がりの月涼

青華国に来て、一ヶ月が過ぎようとしていた。


眠り続けていたことで弱っていた足も良くなり、すっかり元通りになっていた。ただ、違ったのは、月涼の時の声色が出せなくなった事や、体に凹凸がきちんとできたことである。


『アーなんでこうなってんだろう?』頭の中でぼやくのは、治っていない月涼だった。


初めは、この凹凸になれず、無意識にすぐ手でつかんでしまい・・・フルルやルーランに、毎日注意されていた。


「リァンリー様、手!!手!!」


ルーランが真っ赤になって注意する。


「ああ、ごめん、またやってしまった。へへ。」


「その豊満な乳が気になるのは、仕方がございませんが・・・殿方が周りにおられます・・・。」


フルルは、毎度のことと呆れて注意する。


部屋に見舞いに来ていた仲達や仁軌は苦笑するしかない。


「すっかり、女らしくなったかと思っていたが、中身は変わらんな。外側だけだ・・・ハハハ。」


仁軌が豪快に笑う。


「毎日、やって来て、揶揄わないで下さい。」


「すっかり、元気になったし、4人だけで話ができるか?」


そう言ったのは仲達だった。


コクリと頷き・・・月涼は、人払いをした。


「何ですか?仲達さん。」


「その・・なんだ…。東宮殿下の事だ。好きではなかったのか?良いのかこのままで・・・。」


仁軌も藍も気にしていたが、あえて聞かなかった話題である。


「仲達さん。んーっととても、好きだった時が無かったとは言えません。でも、選秀女の時に疑問が湧いたんです。本当に好きなのかなって。」


「疑問?」


コクリと頷いて話を続ける月涼。


「奏の側にずっといて、このまま・・・ずっといるんだって思ってたんです。それを好きだって思ってたのかなって。」


「奏が、小さな頃から、命を狙われる度に、自分がしっかりして奏を守ってあげるんだって、そればっかり思っていて・・・好きだからそうしてるって。でも、その好きと人を愛する好きとは、違うのかも知れないって・・・。選秀女の時から考えてたんです。それに、自分があの後宮で生きていけるのかどうかも・・・。」


仲達は、月涼の答えに頷いて聞く。


「そうか・・・。東宮殿下の思う気持ちとは、違って来ていたのだな・・・。」


3人の顔を見返して月涼は、更に自分の気持ちを言った。


「藍や仲達さんは、兄弟の様に思えるし仁軌さんは、叔父の様に感じていて、いつも一緒に行動してくれることに感謝してる・・・。今回もこんな所まで来てくれて・・・本当にありがとう。」


3人とも月涼の言葉にジンと胸が熱くなるのだった。


「月涼、我々は、時間として短くとも・・・濃い時間を過ごしてきた。お前と同じ気持ちだよ。」


仲達がそう言い仁軌も藍も頷いた。


そんな、ちょっとしんみりした空気を突き破る仁軌の言葉だった。


「で、どうするんだ?結婚?」


仲達が言いづらそうなところを仁軌が突っ込んで聞いた。


「そうだよ、月?どうするの?まっ俺は、どっちでも、月の側にいられるから良いけどな。」


藍もワクワクしながら聞いている。


仁軌は、藍のこの言葉に呆れて、じっとりと藍を見た。


「何ですか?仁軌さんその目は!」


「何言ってんだ、お前、月涼がいなくなって泣いてたくせに。この月涼の枕!」


「泣いてません!!枕は、もうできませんよ~しても良いけど・・・。リュート様に怒られますから、要らないことは言わないでください!!」


「二人とも、私が月涼に気持ちを聞いているのに、静かにして下さいよ!」


仲達がちょっと怒り気味で言うのを月涼は、クスクス笑いながら仲達に言った。


「結婚しても良いかなと思っています。」


「えっ?」


あまりにも素直に、そう言う月涼を驚いて3人は、見つめた。


「だって、仲達さんの持ってきた書簡は、私が公女として世に出すものでしょ?同じものが西蘭でも出されているということです。今頃、国中で・・・隠された公女として民草の間で広まっていると思いますよ。もし、結婚せずに帰ったとしても、公女と認めたということは、どこかに下賜されます。」


「それは、そうかも知れぬが・・・体も良くなったんだし。もし、東宮殿下を思っている心が残っているなら・・・そう、リュート殿下に伝えても・・・。」


首を横に振る月涼。


「そんなことできません。この結婚は、国事・・・。」


そう、月涼が言い終わる前にリュートが入ってきた。


「リァンリー。国事だけか?」


「あっ。ちが・・・。」


リュートを見つめる月涼の事を見て、3人とも覚った。


ニッコリ笑って、月涼を見つめるリュート。


「好き合うのに時間は、要らないってことだな・・・。」


仁軌が、フッと笑って言う。


「そうみたいですね。東宮殿下には、しっかり諦めてもらいましょうか。」


仲達がやれやれといった感じで首を振った。


それを見たリュートは、仲達に言う。


「これで、納得していただけたかな?私は、無理強いするつもりもない。リァンリーの気持ちを大切にしている。彼女が結婚すると言葉に出すまで待つつもりでいたからね。今、聞けるとは思っていなかったけれどね。」


「あっそそれは・・・。まだ、あの、しても良いかなでですね・・・。」


口をパクパクしながら焦る月涼を4人は、大笑いした。


「もう!笑わないで下さい!!殿下まで!!」












評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 月涼の気持ちがちゃんとあるなら、すてきなカップル誕生ですね♡♡二人の心が通じ合うまでのもどかしい展開を楽しみたかった気もするけど、月涼が幸せならいいかな(笑)。それとも、これから恋敵とか出…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ