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不思議な検閲とそれぞれに与えられた石

内門をくぐり終わると検閲室へ案内された藍たち。


「では、検閲室に入ります。男性は、私とこちらの方へ。女性は、あちらにいる女性の侍従とともに。どうぞ・・・。」


侍従頭ペンドラムに促されながらも少し不服を言う仁軌。


「おいおい、さっき馬車に乗る前にもしたじゃないか?」


「申し訳ございません。この国は、見えない力も重んじる国でございます。初めの検閲は持ち物に対して。今回は、それとは正反対のと言った方がよろしかったですな。」


そう言って、ニコニコしながら侍従頭ペンドラムは部屋へ促した。


意味が分からず首を傾げながら、仁軌や藍たちが促された扉を開け入ると部屋は、窓もなく床、壁、天井の全てが水晶になっていた。そして、入ってきた扉から出れなくなっており取っ手が無かった。


「この部屋は、浄化の間でございます。さっ次の間へ行きます。」


そう言って次の間の扉を開く。この部屋も水晶で紫水晶だった。


「この部屋は、他国の毒を抜き、わが国で過ごしやい体調に変化させます。」


そして、もう一つの間に入る。その間は、黒水晶の部屋だった。


「この部屋は、その方の持つ強力な邪気や魔の力をはねつけて封じます。先ほどの部屋で浄化し毒を抜いても残る邪気が有れば、この部屋が反応致します。もし、あなた方の中でその力強い方は、この間から先に行けません。」


侍従頭ペンドラムは、そう言った後、振り返って3人の顔を覗き込んだ。


「藍様・・・こちらのレピドライトの額飾りをお付けください。今の貴方様に必要な石でございます。新しい事柄に挑戦する時に過去や常識・思い込みなど今の自分の枠に捕らわれる事なく、伸び伸びとした思考となりましょう。『変革の石』と呼ばれております。さぁ、扉の前の者が着ける手伝いをしますのでお進みを」


部屋の雰囲気にのまれる藍は、コクリと頷いて先へ進んだ。次に仲達だ。


「次に、仲達様でしたな。・・・瑠璃の額飾りでございます。物事の本質を見抜き、問題を乗り越えることに特化した石でございます。洞察力や決断力も高める手伝いもしてくれます。どうぞ・・・。」


仲達もこの雰囲気にやはり、呑み込まれていた。


「さぁ、仁軌様。いろいろとございましたか?御身は、かなりの困難と障害を積み重ねていらっしゃる。」


侍従頭ペンドラムの言葉は、まるで、仁軌の生き様を見て来たかの言い様だった。


ゴクリと唾を呑み込む仁軌。侍従頭ペンドラムが仁軌に額飾りの石の部分を見せて言う。


「この石は、ガーネットと言いまして、生命力・情熱・実りを象徴致します。『勝利の石』とも呼ばれております。貴方様の様に、努力を積み重ねてきたものを導いてくれます。それと『一途な愛』という意味もございます。貴方の胸に眠っておられる方が囁いておられますよ。では、先へお進み下さい。」


3人そろって額飾りをつけてもらい客間に通された時には、3人とも呆けていた。それは、それよりも早く客間についていた女性たちも同じだった。だが、男性よりも女性の方が立ち直りは、早かった。ルーランが口火を切る。


「ねー!ルキ、ラキ。額飾りの石は何?」


「ルキは、ブルーレースって言ってたね。」


「うん。ラキ!緊張を和らげ、言いたい事をきちんと伝える勇気をくれる石だって。ルキより緊張しやすいでしょって言われたよ。えーっとルキは、プレ・・・。」


「プレナイト!根気強さを養ってくれて、理性と感情のバランスを取って・・えーとお。」


「多くの情報の中から本当に必要なものを選択できるんでしょ!」


フルルが口を挟む。


「ルーランは、アマゾナイト。人間関係円滑にできる貴方にぴったりの石だと言ってもらっていましたね。ふふふ。こちらでも頑張ってね。」


「はい!フルル様、ところで、フルル様は?なんでしたか?」


「私は、ピンクオパールを頂いたわ。なんでも『新しい出会いが有りますよ』とか言われたんだけど・・・。貴方たちとは少し違うのかしら?」


ルーランがくすくす笑いながら


「きっと素敵な出会い!!じゃないですか?」


「まっルーランからかわないで頂戴・・・。」


フルルが少し怒るのでルーランは、甘え声で謝った。


傍らで盛り上がる女官たちのお陰で我に返った3人もお互いの石の話を始めた。特に仁軌は、言われた言葉があまりにも自分の経験と一致しており驚きを隠せなかった。


「この国の者は、人を見通す術でもあるのか?仲達・・・。」


「そうなんですかね・・・なんだか見通されてましたよね。」


「藍、お前なんて言われたんだったけ?」


仁軌は、自分の事でいっぱいで藍に言われていることを忘れていた。


「変革の石って新しい事に挑戦するのに必要だって言われたかな・・・。あの部屋の雰囲気に呑まれてちょっとぼーっとしながら聞いてたからこれぐらいしか覚えてないんだ。」


そんな会話をしていると侍従頭ペンドラムが戻ってきた。


「本日は、ようこそお越しくださりました。また、共に働けることに喜んでおります。全員無事に検閲も終わり、額飾りも着けていただけたようでございますね。その額飾りは、王城で働くもの全てがつけております。また、客人へは、手土産の代わりにとも思っておりますがそれ以外に王城への入場許可書の役割もございますので、滞在期間中は必ずつけておいてください。それでは、食事の間へ移りましょう。」


「え?月には会えないの?」


すぐに会えると思っていた藍は驚くのだった。











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