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海南国王との謁見

ジアン公に準備してもらった書面を携えて、入城した4人は、国王謁見の間に通され、その時を待っていた。


月涼は、ジアン公より下賜された、赤い薔薇の刺繍が施されたドレスに額飾りをした海南国の正装をしている。


藍、仲達、仁軌は、軍服に身を包み武器のみ入城前に預けていた。西蘭国の軍服は、緑に近い色をしている。北光国の軍服は赤でかなり目立つはずが海南国の文化自体が色とりどり雰囲気があり、返ってなじんで見える。



しばらくすると国王が王座の奥間から現れた。


褐色の肌に深い緑の瞳、赤茶の髪、髭が波打っている。


海南国名産のペリドットを輝かせた王冠をが目立つ。


「其方が、ジアン公のひ孫リァンリーか?」


「はい。リァンリー(涼麗)と申します。ローデアル陛下、お目にかかれて光栄でございます。」


月涼の言葉と共に4人は、胸に手を当て膝を着き頭を下げた。


「美しいひ孫がおるとジアン公から聞いておったが・・・。本当の様だな。」


月涼が謙遜しつつ礼を言い本題へと移った。


「其方たちの探す公女の事だが多分、第7皇子の連れ帰った少女のことかと思う。第7皇子が言うには、我が国の王太子に会いに行く途中の北光国の公女が、1人彷徨っていたので不憫に思い連れてきたとか。違うのか?」


「申し上げにくいのですが・・・その情報は少し違います。斉明公女は、我が西蘭国の東宮殿下の後宮に入る為の道中でございました。ここに北光国からの使者もおります。」


「北光国将軍 劉仁軌と申します。斉明公女が西蘭国へ行く道中で、消息を絶ったと聞き同行させていただいております。西蘭国の方が言う通り西蘭国入りは国事でございます。」


斉明公女は、自分で家出しておいて、迷子になったから連れてってくれと言っていたようだ。


そして何故、北光国の公女か証明できたか?それは、本人も仁軌も言っていた簪だった。海南国としては、北光国へ納めた貴重な簪だった為、公女だと判断できたようだ。


斉明公女は、ここでの生活を快適に過ごしているらしく王太子とも謁見できご満悦らしい。


王太子にはすでに后がいると聞いて結婚の件はあっさり諦めたようだが、第7皇子に夢中になっているんだとか・・・。


月涼たちは呆れるばかりである。


海南国側もいつまでも、公女をこのままと行かず丁度、困ってきていた所だった。


だが問題は生じていた・・・。


第7皇子が公女に一目惚れしたらしい要は、両思いである・・・。


国王もできれば、第7皇子の意向をかなえてやりたいらしく話し合いの端々にそれが出る。



この短期間で既成事実まで作られては、堪ったものではない。


ひとまず、斉明公女と話し合いをさせて欲しいと願い出たが、本人が会いたくないと言ううえに第7皇子も帰したくないので公女を匿って出さない状態であった。


「陛下、公女の輿入れは、西蘭国と北光国との和睦で取り決められた国事でございます。この件に海南国もかかわることになると海南国、西蘭国、北光国との3国会議を開くしか無くなります。それでもよろしいのでしょうか?」


月涼が国王にチクりと刺した。


3国会議となれば、まぁまぁの大事である。和睦が済んだ3国がお互いの国の取り決めを定期的に行うために3年に1度の間隔で行われる。西蘭国と北光国は、和睦が済んだばかりで、ついぞなかった会議である。国司を差し出し国境に国旗を掲げ、大体的にお披露目のようなことをしてから会議入りする。平和を象徴するお祭りの様な会議なのだ。


逃避行の公女と愚息の為に開かれるような会議ではない。


ちなみに、北光国、海南国、青華国は、国境が隣接していて和睦が済んでいる為、通常通りの3国会議はしているらしい。


「できれば、陛下自ら公女を差し出していただきたいと思っております。我々は、秘密裏に行動してここまで来ましたので、あまり公にしたくは無いとの意思表示でございます。もしくは、それに代わる何かを西蘭国と北光国に提示していただく形しか・・・。」


月涼の言葉を聞き入れると海南国としての立場がなくなる。

まるで、負け戦だ。だが、甘やして育てた第7皇子が言うことを聞くわけもない。


この国では、珍しい蜂蜜のような髪色に青い瞳、海南国らしい派手なドレスに身を包んだ女性が先触れもなく入ってきた。


海南国王后フェリアマだ。



「リァンリー、先ほどからの言葉は、陛下に対して詰問の様に聞こえるが・・・。」


「その様なことはございません。」


月涼がぐっと堪える。


「では、賢い其方が、若い二人のために知恵を絞ってもらえぬか?」


えっっなんですって?4人とも頭が真っ白になりそうだった。


さっきから国事だと言っているよね・・・どれだけ甘いのだ第7皇子に・・・・・・。


「と、申しますと…?」


「言った通りだ。二人が共に過ごせるようにだ。」


これには、陛下も黙っていなかった。


「王后、個人の問題なら其方の言うことも分かるが、国事が絡んでいる。そう、容易いことではないのだ。」


「ですが・・・陛下。あの二人は、今にも駆け落ちするか死を選びそうです・・・。」


よよとこれまた涙ながらに訴え始める王后。


4人は、遠くへ行きたい気分になっていた。藍に至っては、下を向きすぎて埃を見つけては、ふーと吹いて遊んでいる始末だ。


「ねぇねぇ仲達さん・・・見てよ。これ、この国の虫の色派手だよな~。」

ひそひそと話しまでし始めた。


「藍、お前は、子供か・・・。」


そんな時だった・・・・・・・。










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