ひとまずの納得と、“森の神様”
本当に、長らくお待たせしました…!
『…このような不思議なものを見せられては、信じる他無いな。』
良かった…何とか納得してくれたみたいだ。
『…どうして、こんなことが出来るようになったんでしょうね?』
『“森の神様”のご加護かもしれんな。』
「“森の神様”?」
『この森に住んでおり、森の全てを知っているお方じゃ。』
「…成程?」
アニミズムの類いかな?
『よし、それでは暫くお会いしていなかったことじゃし、お主のことを尋ねるのも兼ねてお参りに行くとするか!』
「!? 会えるものなんですか!?」
『この森の奥深くに、神様の化身である大樹が有る。そこでは神様からお言葉を頂くこともできるのじゃ。』
会話できる神様か。何ともファンタジーだな。
「あの、俺も一緒n」
『当然お主にも同行してもらうぞ。お主について訊くのも大きな目的じゃからな。
ガジルとギバルもついて来い。そろそろお前達も神様にお会いして良い頃じゃ。』
…これはあくまで俺の推測なんだが、この『神様に会う』って言うのはいわゆる通過儀礼なのかな?日本で言う成人式みたいな。
『じゃが、もう日も高い。ここで一旦食事にしよう。…お主も一緒に食うか?』
「良いんですか?ならご相伴にあずからせて頂きます。」
実際有り難い。目が覚めてから今(ちょうど正午あたり?)まで何も食べられていなかったんだ。いい加減お腹が空いてきた。
…今一瞬族長が同情の視線を向けてきたの、俺は見逃さんぞ。村の入り口での会話と合わせて考えるに、どうやら俺が食べようとしたあの木の実は相当マズいーー味が悪いって意味じゃなくーーものだったみたいだね。
『では行くぞ。そろそろ先ほどの“大角”の解体が終わった頃じゃろう。』
「解体?と、いう事は…」
『うむ。お主が居らなんだら仕留められなかった獲物じゃ。お主が最初にその肉を食ったところで誰も文句なぞ言わんわい。
ギバル、食料庫からあの“大角”の肉を貰って、広場まで持ってきてくれ。』
『分かりました!』
『儂らは先に広場に向かっておくぞ。
…これ、ガジル。いつまで呆けているつもりじゃ?』
そんなこんなで族長に案内されつつ、なんとか復活したガジルと共に村の広場へと移動。
広場の中心には焚き火が燃えていて、火を使う調理とかはここでやらなきゃいけないらしい。…良かったよ。『森の中で火を熾すなどご法度だ』とか言われなくて。
ほどなくしてギバルが、大きめの肉が長めの串(と言ってもほぼ木の枝だけど)に刺さったものを幾つも持って合流した。
焚き火で炙って食べろってことらしい。
「それでは…。」
徐に手を合わせて瞑目。
「…いただきます。」
…目を開けると、三人が奇妙なものを見る目でこっちを見ていた。
…。
……。
勘弁してくれ。
日頃の習慣ってすぐには抜けないなぁ…。
これからもこんな感じでの超不定期更新となるとは思いますが、よければ拙作を宜しくお願いします。