52,ガラクタ部屋⑵
これを書いた日が、新シリーズを投稿した日です。
「あとは内側から鍵をかけて出入りを窓からにすれば、もともと鍵がかかっていた部屋なんだし見つかることは無いわ。」
毎回シュヴァルツは空を飛んで入らなきゃいけなくなるけど、そっちの方が安全でしょ。
「……あ!」
唐突にシュヴァルツが声を上げる。
「どうしたの?」
「いや……。」
何かを気がついたって表情だ。
「俺食費どうしようかなって。」
「あー……。」
確かにそうね。
食費。大事な問題だわね。
でも私だってそんなにお金もってないし。
「それは仕事見つけて稼いでもらうしかないかなぁ……。」
こればかりは私個人にはどうにも出来ない。
「やっぱそうだよな……。」
「申し訳ないけど。」
「まぁ心当たりはあるし、なんとかするさ。」
心当たりはあるのね。
「ならよかった。
せっかく寝所を提供したのに飢え死にされたら嫌だもの。
それに寝覚めも悪くなるわ。」
提供したって言ったって、ほとんどガラクタ部屋だけど。
「そういえば、この部屋はいつまで提供していればいいかしら?」
念の為聞いておく。
まぁそれが分かるんなら、そもそもこの部屋借りてないんだろうけど。
「ごめん、それ分かんねぇや。」
……ほらね。
「そっか。分かったら教えて。」
まぁ別に良いんだけど。
「じゃあ、窓の鍵開けるわよ。」
私は窓辺に近寄って、少し錆び付いた窓の鍵をガチャリと開ける。
……よかった、窓もちゃんと開くみたい。
鍵だけ空いたって、窓が開かなきゃ出入りできないもんね。
「じゃあ一回部屋をでて、鍵を閉めましょうか。」
……証拠隠滅のために、鍵は開けっ放しにはしておけない。
それはシュヴァルツも理解しているらしく、「そうだな。」のひとこと。
……でも、空を飛んで部屋に入れるとなると本当に便利ね。
私にもリリアーネにもできないっぽいから、精霊限定か習得困難かなんだろうけど。
極力周りのものに触らないようにしながら部屋を出ると、さっき使った鍵―――はもう溶けてしまっているから、もう一度鍵を氷魔法で作って、部屋の鍵を閉める。
なにか落として音が鳴っちゃったら面倒だからね。
そしてそのまま私の部屋の中に戻り、ちゃんとシュヴァルツが入ったのを確認してから扉を閉める。
そして型版の本を閉じると、本棚の空いている場所に入れた。
どこにしまえばいいか分からなかったからそこにしたけど、これの持ち主だって、たとえそれがない事に気がついてもまさか私の部屋にあるとは思わないでしょ。
私は部屋に極力人を入れないスタイルだから、尚更よ。
……まぁシュヴァルツは例外だけどね。
初めて会ったのが部屋の中だったからもういいやって感じ。
なんて言うかその…………。
……面倒だ。
やっぱ書くのって楽しいんだよなー……。