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2,生まれ変わったら主人公!?⑵ 

※加筆修正済み(今回は題名にも手を加えています)


書くのって楽しいですね。

ドタバタという音が大きくなって、大きな扉がバタンと開く。

絶対これは、新しい人の登場よ。


「リリ!目が覚めたと聞いたぞ!」


そう言って駆け込んできたのは、短髪をオイルで綺麗に整えた長身の男。

その頭の赤い髪は、私の体に見えるものとは微妙に違う。

だけど、明らかに家族のそれだろう。

つまり、リリアーネの父親ね。

そしてさすがは乙女ゲーム、父親であれど若々しくイケメン。


「お父様……?」


「良かった!リリ!」


そう言ってぎゅーっと抱きしめられる。

割と力が強くて少し痛い。

……なんだかみんな“良かった”しか言わないじゃない!

セシルと言いレグトルスと言いさぁ……。

どんだけ心配されてたのよ……。

リリアーネは愛されてるわね……。


……そういえば、リリアーネの父親ことレグトルス・グルベンキアは、陰ながらに一人娘であるリリアーネを溺愛していたのよね、確か。

リリアーネ本人は全く知らないことだけど、その溺愛度合いに一部の人は呆れ返っていたほどだ。

だからひとたび熱を出せば冷静を装っても内心大騒ぎだったし、多分今回も医者にご厄介になっているはず。


「もう大丈夫なんだな?もう一度医者に診てもらった方がいいだろうか。」


……ほうら、やっぱり。

普段はとてもしっかりしてる人なのに、リリアーネのことになると──つまり、今私が入っている体のことだけど──周りが見えなくなるらしいってゲームプレイヤーチャットではよく話されていたわ。

私はそこで会話するのが大好きだったし。

会話に参加しなくても、他の人たちの考察やネタバレを読んでいるだけで楽しかった。


「心配をおかけして申し訳ありません、お父様。

寝込んでしまった効用か、もうすっかり回復いたしました。」


確かリリアーネはレグトルス相手にも敬語だったはず。

しかも先輩相手とかのフランクな敬語じゃなくて、面接とかのガチガチのやつ。

会社の面接で培った敬語が火を吹くわね。


それに階段から落ちて熱を出す、なんて惨事は日本でも救急車レベルに心配されることだし、ましてや寝込んだとなれば心配されまくるのも当たり前だ。

だからそんなに大袈裟なことでもないかもしれないわね。


「目覚めて本当に良かった。私はすぐに仕事に向かわなければならないから、戻る。

リリアーネはもう少し安静にしていなさい。」


「えぇ、そうさせていただきます。

お父様もお気をつけて下さい。」


「ありがとう。」


すごいな……。

仕事を投げ出してきてるんだ……。

良い父親ね。

やっていたのはデスクワークかな?

本職は騎士だからすぐには駆け付けられないはずだし、きっとそうだわ。

すぐさまレグトルスは部屋を出ていく。

本当に忙しそうだ。




……あれ?

そういえば……。

私って何日間ぐらい眠っていたことになるんだろう。


「ねぇセシル?」


「なんですか?」


「私ってどれくらい目を覚さなかったの?」


「およそ一週間ほどですが……。」


……っ、やばいやばい、これは絶対やばい!

一週間もシャワーも浴びてないってこと!?

しかも発熱してたって事はどう考えても汗だくになっているはずだし。

よくレグトルスは抱きつくことができたわね!?

これは早急に、早急にお風呂に入らないといけないわ……!


「せ、セシル!すぐにお風呂の用意をしてちょうだい!」


リリアーネはお嬢様なんだから、命令しても大丈夫なはず……!


「はい。すぐにご用意いたしますね。」


あ、大丈夫だったね。


「ありがとう。」


セシルも風呂の支度をしに出て行ってしまって──まあ私が頼んだんだけどね──、だだっ広い部屋の中に一人になっちゃった。

……リリアーネってつくづくすごいお金持ちよね。

することが何もないせいで、とりあえず部屋を隅々まで見渡したから思ったことだ。

天蓋付きの美しい薄紫のベッドに、可憐な装飾が施された大きな棚。

そこにはさすが医務室らしく、医療器具がたくさん並んでいる。

床に敷いてあるカーペットもそれはもう高そうで、本当にもう“豪邸”という光景。

お風呂が終わったら散策してみたいものだわ。


「リリアーネ様ー。お風呂の準備が完了しましたー!」


……って、はやっ……!

いくら何でも早すぎていやしませんか?


「はぁい。」


……まぁ返事はしておくんだけれども。

さーて、お風呂お風呂。

いやほんっとエクスクラメーションマーク多いな!?

ちょっと自分でもびっくりするぐらい。

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