1,生まれ変わったら主人公!?⑴
※加筆修正済
深夜テンションで作ったとってもうるさい乙女ゲーム転生です。
今までと作風全く違うけどお付き合い頂けると嬉しいな。
※攻略対象に出逢うまでがそれなりに長いです。
話の内容我関せず、だいたい1話1話は1000文字で切ります。
「やっとお目覚めになられたのですね!リリアーネ様!」
耳元で叫ばれる。
しかもそれは私の名前じゃないのに、明らかに私に向かって発せられている。
……は?いきなり何!?
私の頭は混乱で埋め尽くされた。
だって混乱するほかない。
目が覚めたら全く見慣れない景色なんて、普通はありえないことだもの!
しかも肩にかかっている髪は真っ赤。
私は肩より少し下ぐらいの赤みががった黒髪だったのよ?
この髪の毛、腰より下ぐらいまであるじゃない!
それにさっきも思ったけど真っ赤だし!
なんなの?夢なの?
そして目の前には、侍女の格好をした女の人がいる。
視線の先は私で、涙目。
どうやら“心配”をされてるみたいだけど……。
いったい何が起こってるんだろう。
私の最後の記憶は会社のオフォス。
徹夜をする勢いで仕事をしていたんだけど……。
我に帰ってみれば全く身に覚えのない状況で、混乱の渦中もいいところ。
目に映る壁や天井はどうみても西洋風のもので、コンクリばりだった会社とは絶対に違う。
まさかこれが俗に言う異世界転生……?
は?なに?そういう事?
いやどういう事?
いやなんかすごい展開だな……。
すごい展開だけれども!
でも何なのよこれ!
あぁ、ゆめ?
夢なんだきっと。
そうじゃないとありえない。
何かあってもすぐに醒められちゃうのが社会人悲しいところだ。
……っていう名目で、自分を落ち着けようとする。
そうでもしないと発狂しそう。
だっていくら何でもこれは………。
「はぁ……。」
思わず、ため息。
「リリアーネ様……?」
あ、なんか心配されてしまった。
まぁ“やっとお目覚めになった”相手が開口一番ため息を吐いたりなんかしたら、そりゃ確かに心配もするわ。
何か話した方がいいかもしれない。
っていうか話した方がいいわね。
「何かあったの?」
“やっと目覚めた”って事はこの侍女さんが心配してる人はしばらく眠ってたわけで……。
それなら現状確認をするのが自然よね。
それに私何も分からないし。
何かしらの説明が欲しいわ。
「リリアーネ様は数日前に階段から落ちたあと、高熱を出してずっと眠っていらしたのですよ!
先ほど父上様に連絡致しましたので、すぐにいらっしゃるはずです。
本当に、お目覚めになって良かった……!」
なるほど、階段から落ちたのね。
それで名前は『リリアーネ』。
うん。理解した。
夢かどうかはともかく、もうこれは間違いようもなく異世界転生のシチュエーションだ。
しかも赤ん坊からじゃないタイプの方。
つまりこれは、自分の位置付けを確認しないと……!
……ん?“リリアーネ”?
どこかで聞いたことがあるようなないような……。
……記憶の片隅に、引っかかるものがある気がする。
「ごめん、記憶が曖昧で……。ここはどこなの?」
「ここはグルベンキア邸の医務室ですよ。
お嬢様の大事な故郷ではございませんか!」
「グルベンキア邸……。」
……っそうだ、グルベンキア!
何だか聞いたことがある名前だと思ったら、リリアーネ・グルベンキア!
“グルベンキア”って名前、乙女ゲームの主人公のものだわ!
なぜかリリアーネって名前も私が昔設定した名前のままだけど……。
“アルドンサ魔法学校”に通う14歳の女主人公が、それぞれのルートのイケメンたちと数々の冒険をくぐり抜けて恋をする超マイナーゲーム!
昔好きでたくさん遊んでた記憶がある……!
今はもうどこかになくしてしまってすっかり忘れてたけど、とてもハマってたんだよね……!
……懐かしい。……すっごく懐かしい。
……っていうか、つまりこれは乙女ゲーム転生なのね。
しかも悪役令嬢じゃなくて主人公!
「ありがとう、セシル。」
そうそう、この美人侍従の名前はセシル。
なんだか楽しくなりそうだな……!
……その時だった。
このとても広い部屋のそとから、ドタバタと騒がしい音が聞こえてくる。
……ん?なんだろう。
1話1話は1000文字ほど。
※修正後は増減しています。