17,朝食も多い……!
昨日のうちにあげるとか言っといてえぇぇぇ!
ごめんなさい!
今度こそ、今日のうちに!
もう一個!
……って、このご飯多くない!?
食べても食べても無くならない…………とまではいかないけど、でも多い!
別に食べきれないわけではないけどさぁ……。
あんまり急いで食べると怪しまれちゃうのに……。
……目の前にあるのは、美味しいサラダ、美味しいスープ、美味しいフレンチトースト、美味しいハンバーグ──この時点で合ってないよね──、美味しいスクランブルエッグ、美味しいハム、美味しいソーセージ、美味しい美味しい飲み物──これはツィンパフでは無かったわ──、美味しいフルーツ、美味しいケーキ…………。
……ね?
食べきれない量ではないでしょ?
……でも、絶対に朝食の量じゃないわ……。
……勘違いしないでね?
食べきれないわけじゃないから!
…………って、誰に言い訳してるんだろ私……。
……結局、私たちを包む暗沌とした沈黙は消えないまま朝食は続いた。
パクパク、モグモグ、ゴックン。
……なんかこんな歌なかったっけ…………?
お○○さんといっしょみたいなやつの歌……。
うーん。
…………………………………………………………………………………………………………………………
……あぁもう!
話すことがないと余計な事ばっか考えちゃう!!
やっぱり気まずいなぁ……。
ゲーム内じゃ選択肢があるから大して悩むことなんかないのに…………。
まぁそもそもゲーム内で“父親”に会うのがEND間近しかなかったからっていうのもあるかもしれないんだけどね。
……なんてことを悶々と話しているうちに、いつの間にか皿の上は空っぽになってた。
それはレグトルスもほぼ同時かな。
既に食器を置いて、ナプキンで口を拭いている。
なので私もそれに倣って、フォークとナイフを揃えて置いて、口を拭った。
レグトルスがそばにある鈴をリン……と鳴らすと、直ぐにワゴンをもった侍女が現れた。
──準備がよろしいことで…………。
ってか、じゃああの侍従の子は朝ごはん早すぎか遅すぎに食べるって事だよね……?
そういうのあんまり良くないと思うんだけどなぁ…………。
……んま、地球に居る時に一日中何も食べなかったことがある私が言えたことではないんだけどね。
テキパキと空になった皿が片付けられていく。
かなり手際も良いな、と思った。
あっという間に二人分の大量の皿は片付けられ、ワゴンをガラガラと引きながら侍女は退出した。
「……ごほん。」
……あ、お父様が咳払いをしたわ。
きっと何か話が始まるはず…………って言うか、十中八九あのことよね……。
実際には「おかあさんといっしょ」じゃなくて「いないいないばあ」の歌です。
「パックンもぐもぐカミカミもぐもぐ
パックンもぐもぐカミカミゴックン」
って歌。
なんで主人公は知ってるんでしょうね……。